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8 MileのYYamadaのレビュー・感想・評価

8 Mile(2002年製作の映画)
3.7
【音楽映画のススメ】
~ 音楽と映像の素晴らしき
   コラボレーション

◆作品名: 8 Mile (2002)
・作品のジャンル : 青春ドラマ
・楽曲のジャンル : ラップ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・デトロイトの工場で働くラビットこと青年ジミーの夢は、ラッパーとして成功し、どん底の日々から抜け出すこと。プロデビューを目指す彼は街で行なわれているラップ・バトルに出場しようとするが、繊細な性格ゆえにプレッシャーを感じ、棄権してしまう。モデル志望の娘アレックスとの恋、トレーラーハウスに暮らす家族との生活、そして仲間たちと思い描く成功の夢。ジミーは迷い、傷つきながらも、やがてラップのバトルステージに立つ……。

〈見処〉
①あらゆる瞬間にチャンスがある――
 伝説のラッパーエミネム、唯一の主演作
・『8 Mile』は、2002年に製作されたドラマ映画。監督は『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン。
・かつて自動車産業で隆盛を極めながら、アメリカ屈指の没落都市ミシガン州デトロイトにおいて「富裕層と貧困層」ひいては「白人と黒人」の居住エリアを隔てる境界線「8マイル・ロード」。本作は、白人貧困層にある青年が「黒人のD.N.A.」ラップを武器に「8マイル先=貧困からの脱出」に葛藤する青春ドラマ。
・主演の「史上最も売れたラッパー」エミネムの半自伝的な作品であり、彼唯一の劇場映画主演作であるである本作。当初はアイドル映画だろうと揶揄されていたが、真摯なストーリーに、トレードマークの染め上げた金髪を本来のダークグレイにして臨んだ熱演は、商業的にも批評面にも、高く評価された。
・エンドロールに流れる主題歌「Lose Yourself」は、2002年度アカデミー賞において、エミネムはヒップホップアーティストとして初となる歌曲賞を受賞している。
・なお、作中のラップのリリックに登場する「313」は、デトロイトの市外局番。貧困層の中で暮らす白人に対する逆差別の意味。

②結び…本作の見処は?
◎:「アイドル映画を越えた青春ドラマ」。ストーリーはブラック・ムービーそのものながら、キム・ベイシンガーの「クズ母」ぶりも相まり、黒人社会での逆差別にもがくエミネムの熱演ぶりは俳優を凌駕。人間ドラマとして、秀逸の出来。
◎:「先手必勝」…本作の最大の見どころであるラストのラップバトルでは、自身の弱みを逆手に取った痛快さがある。対戦相手のラップ・チャンピオン「パパ・ドッグ」を演じるのは、本作が映画デビューとなるMCU「ファルコン」ことアンソニー・マッキー。
○: 本作にて映し出される、浄化される前の荒廃したデトロイトの街並みは、貴重な映像資料でもある。
○: 本作出演の7年後の2009年後に、32歳の若さで心不全で逝去されたブリタニー・マーフィが存在感あるロインのアレックスを演じている。
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