ちろる

不死鳥のちろるのレビュー・感想・評価

不死鳥(1947年製作の映画)
3.8
一生離さない。僕に一緒しがみついているんだ。と言ってくれたあなたはあっけなく天に召されてしまった。
温かくてかっこよくて男らしいあの人に愛されてこの世界は2人だけのものだって言ったあの人の言葉はまやかしだったのか。

本当の愛は死による不在によって壊されることなんかない。
穏やかに彼の忘れ形見を抱きしめて、愛した人との思い出を回想することができることが幸せだと言い切る。
弟の願いは姉が窓辺で悲しい顔をしない事。
その弟の儚い愛と、彼のまっすぐな愛情だけがあれば何もいらないと思っているのに、世間の価値観で可哀想などと言われても、ようやく実った幸せ、大切なあなたの忘れ形見があまりにもかわいくて皆はそんな息子を愛してくれてその幸せを抱けば決してあなたを忘れない。

良家の子女でありながら、両親の死によって不安定になってしまった主人公が唯一手にした希望がまた憎き戦争によっていとも簡単に壊されてしまう辛いラブストーリーなのだか、人の幸せとは他人がとやかくものではない。
幸せだと思う瞬間は他人が羨むことなどではなく、人生にここまで深く愛し、愛される人に会えばその後がどうであれもう他人には計り知ることはできないのだなと幸せの価値観について考えさせられてしまう。
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