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自転車吐息のMypageのレビュー・感想・評価

自転車吐息(1990年製作の映画)
4.5
予備校の教室。豊川市中町知通10番地。アスファルトを伸びていく白線。主人公のナレーションで物語が立ち上がってくる。おい、圭太、何やってんだよ、あれだよあれ。8ミリフィルム。草野球。禿げた芝生。古けた公園の遊具。透明ランナー。赤!木登り。旗を振る。円卓に積まれた蜜柑。ニット帽。錆びた自転車。風に揺れる木立。田んぼの畦道。冬だった。タイムスリップしたような気にもなってふわつく。それだけでも十分胸が一杯だったけど、後半の展開がすごい。息をするようにカメラを回してる。俺のは!俺のは!北史郎は園子温になる。あけましておめでとうございます!地下道で膝から落ちる。公衆電話。なんの説明もないけど、わかる。あのときの境内の広場に。あのときの冬の草の匂いに。あのときの錆びた自転車に。牛乳瓶を、投げられない。この呼吸。『一塁』の美術と衣装がいい。青春の表象、なんてものがどういうものかなんて、どうでもいいんではないかな。映画における家族の温度感。なんなんだろうね。割り込んできちゃう。『書を捨てよ』『自転車吐息』『青春の殺人者』、面白い。
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