垂直落下式サミング

大巨獣ガッパの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

大巨獣ガッパ(1967年製作の映画)
3.0
日活の特撮怪獣映画。
『キングコング』とか『モスラ』みたいな、自然の生物を人間の都合で見世物として文明社会に持ち帰ってきちゃう系で、どこかでみたことのある場面、どこかでみたことのある展開が続きます。先住民が絶対にするなって言うことをやらかす調子こいた文明人、自身の発見に陶酔する科学者の傲慢、資本家の倫理を欠いた利益追求、家族の絆の修復といったありがちなキッズアドベンチャーに怪獣が絡んでくる。怪獣映画とは無縁の日活が製作し子供映画の要素を複数取り入れた本作は、ある意味挑戦的な作品といえる。しかしながら、怪獣映画を登場人物のパーソナルな葛藤を主軸に描くヒューマンドラマにしてしまったことで主張が五月蝿くなり、ラストの二組の親子が抱き合う感動を狙ったシーンがどうにも間抜けにみえてしまった。特撮映画としての評価も年代を考慮したとしても残念な特殊効果で、特にガッパが熱海の町に飛来するシーンは残念すぎて笑えてくる。日本人の肌を黒く塗って土人を演じるという現代ならポリティカルコレクトネス的に完全にアウトな表現もなかなかに時代を感じさせる映画で、創造力を働かせて心の目の薄目を開けた状態で見れば面白いけど、如何せん何かの亜流感は否めない。
山本陽子さんがカワイイです。ラストで描かれる「女性は経済活動をするより家庭に入ることこそが幸せだ」という価値観の是非は別にして、この映画でいちばん素敵な映り方をしている往年の美人女優。
ガッパも目が可愛いですよ。飛翔する時の鈍臭い助走の付け方やパタパタと脱力しきった羽根、爛々と光るふてぶてしい眼光なんて最高にキュート。映画の主題歌が子供達のコーラスによるテーマソングなのも萌えポイントだ。個体の可愛いさならシンゴジラ第二形態にもひけをとらない…はず。