emily

アクネ 初体験のemilyのレビュー・感想・評価

アクネ 初体験(2008年製作の映画)
3.6
思春期まっただ中の13歳男子中学生のラファエル、初キスするために顔にたくさんあるニキビを治すため病院でピーリングを受け、好きな子に告白したり、お金を払ってセックスしたり、たばこやお酒もすべて初キスのため・・

 13歳の少年の日常を淡々と綴る。初キスを夢見て、あらゆることをするが、初セックスよりキスが大事という。プロの方々とセックスはできても、決してキスはさせてもらえない。ニキビの薬を塗って寝て、皮膚科に通い、ピアノのレッスンや友達との日々、背伸びしてもやっぱり子供で、時折不穏な表情を見せ、淡々と日々を観察する。好きな女の子を執拗に観察し、そこにほかの人の目が重なるとカメラはおのずと閉鎖的に視界を削り、少年の不穏な心情に寄り添う。友人の家はお店をやっててそこの壁の前で遊ぶ二人。何でもない文字が書かれた壁だが、その絶品の構図によりスタイリッシュなポスターのように浮かび上がる。

 親との距離感、毎日の授業。好きな女の子をパーティの時にどうやって散歩に誘うか。。敢え無く撃沈してしまうが、彼の夢はあっけない形で叶う。時に身を任せていれば、その時はおのずとやってくる。待っているときほど時間はながく、その時は永遠にやってこないのだ。初キスの相手は求めてた相手ではなかったけど、ニキビが時間とともに治っていくように、すべての出来事にはそれぞれのタイミングがあるのだ。どーんと構えて待っていればいつかその時はくる。
emily

emily