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ユー・キャン・カウント・オン・ミーのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

3.7
戦争映画を一月見続けたので、心のリハビリに優しい癒しの映画を探してます。

本作品は交通事故で両親を亡くした姉弟のその後と絆を描いています。

先に残念なことを書くと、主演のローラ・リニーの気が強く攻撃的な物言いが苦手で、「真実の行方」の検事役、「イカとくじら」の別居中の母役、どれも相手に食ってかかるテンション高めの役で、実にアメリカンウーマン最強です。

設定はよいので、抑えた演技のできる女優だったらよかったのに、と思いましたが、頑張らなければ生きていけなかった人物を描きたかったのだろうと思い直しました。

姉が頑張って生きてきた分、弟はその反対で、ふにゃふにゃしています。自分の身を自分で守ることができず依存的。定職もなく、その場の空気に流されてしまう。まだ子どものまま。姉とその息子を愛しているが、うまく表現できない。

刑務所から出所した弟が数年ぶりに実家に住んでいるシングルマザーの姉を訪ねる。無心のために。姉は弟を心待ちにしていたのに、情けない弟に怒り狂う。そこから物語は始まります。

姉弟の絆を描いていましたが、余分だと思えるエピソードがいくつか入り、物語の途中では二人の絆をそれほど感じることができませんでした。

姉の突然の不倫。よりによって喧嘩相手のイヤな上司。

神父の説教が長く、神父役はケネス・ロナーガン監督自身が演じていて、作品で言いたいことをここで語ったのでしょうが、理屈っぽかったので全く響かず。というか、監督がメッセージを直接伝えてしまうことに大きな違和感を覚えました。
両親を亡くした姉にとって、神父は父親の代わりだったとは思いますが。
姉は信仰によって支えられてきました。

釣りのエピソードと、姉の元夫のエピソードとラストはとてもよかったです。

ロケ地が風光明媚で、東部の山の中の歴史ある町で、なんとなくカナダっぽい(ニューヨーク州デラウェア郡のマーガレットビルという谷合の小さな町でした)。実家の調度品が素晴らしく、両親の思い出を手放せない姉と、小さな町から離れたい弟。

盛り込み過ぎなのと、姉の演技が大き過ぎるので、私には今一つでした。

中立な立場にいるのが、姉の息子ルディ(ロリー・カルキン)。ルディの抑えた演技はよかったです。このルディ、誰かに似ていると思ったら、マコーレー・カルキンの9歳下の弟。そっくり!愛らしかったです。


タイトルの「頼りにして」のように、姉に頼りっぱなしで生きてきた弟の精神的な自立と、姉が両親の代わりに頑張ってきたけど自分の寂しさを自覚して弟から自立する話だったのだと思います。
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