福福吉吉

ミュンヘンの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
1972年、ミュンヘンオリンピックが開催中、11名のイスラエル選手がパレスチナ過激派「黒い九月」により殺害される。イスラエル政府は報復として黒い九月のメンバーの暗殺を行うため、アヴナーをリーダーとする実行部隊を結成させる。アヴナーたち実行部隊は暗殺を次々と経験していき、命を落とすメンバーも出て、不安と恐怖にかられていく。

◆感想◆
実際にあった出来事の映画化ということで、事実の重みを丁寧に描くとともに、暗殺に当たった実行部隊のメンバーの精神状態が衰弱していく様子を伝えていました。

主人公のアヴナー(エリック・バナ)は暗殺の実行部隊のメンバーに選ばれ、出産した妻と離れて任務に当たります。イスラエル政府からも無関係として扱われ、実行部隊は独立したチームとして動くのですが、アヴナーを始め、メンバー全員とも使命感もあって活気が最初のうちはあったのですが、ストーリーが進むにつれて、チームとしての脆さや情報の信頼性などから不安に強くかられるようになります。このあたりの心情の変化がよく出ていて、アヴナーの恐怖が心に伝わってきました。

しかし、ストーリー展開として、1人ずつ違う方法で暗殺を続けていくのですが、絵面として変化はあるので退屈しないのですが、ストーリーが一向に進んでいないような錯覚に陥りました。これは私が現地の情報をあまり知らないことにも原因があるのですが、ピンとこない部分も多々ありました。

ストーリー終盤になると、実行部隊のメンバーも少ない中、アヴナーは現状の危険さと今更やめられない使命感に追い詰められて蒼白の表情の中、暗殺を継続しようとする姿が強烈でした。

観終って歴史として知ることができて良かったという思いはあるものの、あまり満足感の得られない作品でした。歴史を題材にする以上、それを飛び越えるものは出来ないのですが、面白みという部分に欠けるように感じました。

鑑賞日:2024年2月28日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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