真っ黒こげ太郎

新・死霊のはらわたの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

新・死霊のはらわた(1986年製作の映画)
3.8
”死霊(やつら)”は何度も、蘇る。

(因みに「死霊のはらわた」とは関係)ないです。




例によってウィルスによってゾンビが蔓延した世界。
アメリカ政府によって対ゾンビ特殊部隊「ゾンビ・スクワッド」が結成される、が隊員達がおバカな無能連中だらけで次々と戦死者が得る始末(おいおい)。

ある日、「ゾンビ・スクワッド」リーダーのライミ(!)は、対ゾンビ特効薬を入手できるかもしれないとの情報を得て、特効薬の開発者であるボウ博士のもとへ向かう。
だが、そこにいたのはゾンビを神と崇めるカルト教団だったのだ!!!



ゾンビパンデミックが巻き起こった世界を舞台に、対ゾンビ特殊部隊とゾンビとカルト教団の戦いを描いた、自主制作・ゾンビ・ホラー。
こんな邦題だが、多くのパチモン映画の例に漏れず、サム・ライミ監督の「死霊のはらわた」とは無関係な作品。

本作は「サム・ライミ制作総指揮!!!」と大々的に名うっているが、実際はゾンビ好きの監督にライミさんが資金援助をしただけとの事。
それだけでサム・ライミさんの金看板を掲げるとは大した度胸ですが(笑)、その資金援助&ネームバリューのお陰でこうしてリマスター&DVD化され、こうしてレンタルショップの棚に並ぶことが出来たのですから、人生どう転ぶか分からない物である。w


話としては「ゾンビ狩り部隊とゾンビ信者カルト教団との戦い」を、「ゾンビ」や「死霊のえじき」を参考に…ってかそのまんまパクって描かれている。
道中のゾンビの研究所やクライマックスのゾンビなだれ込み&大殺戮劇なんかは凄くどっかで見た気ががが。w


しかし、ライミさんの資金提供があったとはいえ、映像面はかなりショボいし、話もものっそいガバガバ。

主人公達は対ゾンビの特殊部隊なのだが、その癖してゾンビとの大ドンパチは拝めず、活躍するのはせいぜい主人公と紅一点のヒロイン位。
というのも、他の隊員がどいつもこいつも無能で、わざわざ一匹のゾンビに手榴弾を使って100匹のゾンビを呼び寄せてしまったり、頭だけで動くゾンビの頭があるにもかかわらずよそ見して物を取ろうとして噛まれたり、実験用に捕まえたゾンビに不用心に近づいて噛まれたり、終いにはカルト教団の脇役一人に不注意で殺される始末。
お前ら、もっとちゃんとしろ!!!

映像方面に関しても8㎜フィルムで撮影してるのは80年代テイストを出せてるのでまだいいんですが、舞台となる民家や建物はそこら辺で借りた感がハンパ無いし、公道では普通に車が走ってるし、教団との戦闘シーンも泣きたくなるほどにショボい。
(土煙程度な爆破シーンもある。w)

他にも、かったるい話運びや、あちこちにあるコント染みたギャグのしょうもなさ等、悪い点をあげたらキリが無い。
まぁ、自主製作だからと言ってしまえばそれまでなのだが…。


そんなこんなで作品としてはかな~りアレな出来栄え本作ではあるが、でも制作陣のゾンビ映画に対する愛情は伝わってきた。

何といっても、ライミさんの資金援助の甲斐あってか、あちこちで気合入りまくりのスプラッター描写が展開!!!
首チョンパ後や頭縦割り後もバタバタ動くゾンビといった千切れた肉片ウネウネ、喉肉食いちぎりや内臓抉り出しといったお食事シーン等、グロゴアは質、量と共に高クオリティ。
特に「死霊のえじき」の印象的な残酷描写の再現度はかなり高いぞ!!!

話に関しては前述の通りgdgdの極みだが、それでもクライマックスの「死霊のえじき」オマージュ展開の多さは微笑ましい。
知性を持ったゾンビの件は完全に「えじき」のゾンビ「バブ」の再現だし、ゾンビが押し寄せる場面もそっくりそのまんま。
ラストの人類滅亡まっしぐらにも関わらず笑える捻くれまくったオチも良い。

ライミやサヴィーニ、カーペンターといった、ホラー界隈の有名人そのまんまな名前の人が出てくるのもまぁファンの一人がキャッキャしながら撮ってる事を考えればまぁいいか。w

ってかここまでオマージュが多いなら「邦題は「新・死霊のえじき」の方が良くね?」と思ったが、既にその邦題の映画はあるみたいで。めんどくせぇ~!!!w


正直ショボさ満点で内容もかったるく、グロゴアオンリーな内容なので万人には進められないだろう。
だが、気合満点のグロメイクやゾンビメイク、ジョージ・A・ロメロさんの過去作にオマージュとリスペクトを捧げた描写の数々等、単なるZ級ホラーで終わらせるには惜しい要素も沢山あるので、ゾンビ映画ファンの方は一度見てみてはいかがでしょうか。
ただ、ハードルは地面スレスレレベルで低くしておくことを勧めます。w