真っ黒こげ太郎

人肉ラーメンの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

人肉ラーメン(2009年製作の映画)
4.4
某人肉饅頭を彷彿させるこのタイトル…。w
近所のツタヤで見かけて気になってたんだが、何でもかな~り過激なスプラッターらしいのでレンタル。

昼飯の汁なし担々麺を食いながら…

レッツ!!!グロリンチョ!!!!w(ノンキに)


…。


うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!辛っ!!!!
(激辛担々麺だったw)
口内がぁ!!!口内があああぁぁぁ!!!!!!
内容も色んな意味で辛えッ!!!!!!!!(別に上手くない)



足の悪い娘と2人で暮らしていた中年女のバス。
夫は借金をこさえた挙句、借金をバスに押し付けて他の女と共に逃げていた。
バスは小さなラーメン屋台を回し、生計を立てていた。
だがそのラーメンは、人肉を材料にした人肉ラーメンだった…。

ある日、学生の暴動?(学生運動?)に巻き込まれた際に、近所の薬屋さんの息子であるアタポンに助けられる。
その際にバスとアタポンは知り合い、アタポンは店を手伝うようになり、2人は徐々に仲良くなってゆく。
しかし、ふとした事からアタポンがバスの狂気に気づき…。




ラーメン屋の女性の凶行を描いた、タイ産のスプラッター・ホラー・ドラマ。
某人肉饅頭をレビューした際に、近所のツタヤで発見して気になってた。

タイトルからしょっぱいB~Z級のアホアホ映画かと思いきや、意外にも評判は悪くなさげで、強烈なスプラッター描写もあるみたいなので観てみた。


で、実際の内容ですが、これがまた滅茶苦茶に重くて悲しい内容だった…。
つーかこんなイロモノタイトル付けちゃいかんだろ!!!w


お話は、悲惨な過去から殺人鬼になり人肉ラーメンを作るようになった女性の狂気のお話ですが、この話が結構なレベルで重い。
ネタバレ回避の為詳しくは書かないが、元々悲惨という言葉すら生ぬるい人生を送ってきた主人公の女性が”何よりも大切な物”を失った事からタガが外れ、狂気に陥ってゆく姿が観ていて悲しい。
特にクライマックスは、その狂気に苦しめられた挙句、完全に正気を失ってしまう。(バス役の女性の演技も見事。)

「彼らは悪い人だから殺したの」
「殺したのよ」「アハハハ…」
「彼は嘘つきよ」「お家へ帰ろう」

他の登場人物も、クズ野郎だったりして、誰一人として救われない…。
(マトモそうなイケメンも他の女に乗り換た挙句、破滅の道を突き進む羽目になる。)

とにかくそういった重苦しいストーリーをガッツリシリアスに描いているのでグロイ云々以前に凄まじく重たい。
(無論グロ描写は内容の重さに一役買っているし、所々でコミカルな場面も出てきたりはするのだが。w)

ただ、今作は主人公の過去やそこら辺の事情がやや分かりにくい。
別に飯が辛くて内容を見失っていたワケではなく(笑)、過去の回想を挟み時系列をシャッフルしているので分かりにくくなっているのです。
しかし、回想はモノクロで描かれているし、断片的な感じでもお話自体は(比較的)分かりやすいのは良かったです。
ただラストが「あなたの知らない世界」へ突入するラストで、どういう事なのかサッパリ分からなかったが。w


肝心のグロ描写は、喉裂かれて血が出まくりだわ、腕や指がチョンパされるわ、肉切られ抉られるわ、フックでブッ刺されて吊り上げられるわで、痛々しさ満点の見事な出来。
冒頭の拷問チックな釘刺しシーンとかも滅茶苦茶痛そう…。
終盤の血みどろ具合はちょっとフレンチスプラッターっぽかったけど。
(巻き込まれた女性が逃げ出そうとする件とか。w)

タイの下町の陰険のな雰囲気も良く出来ているし、殺害シーンの陰険さも相まって血生臭い雰囲気は良く出来ている。
少々編集が激しい場面もあるが、まぁそこは許容範囲内。


正直話は少々分かりずらいし、邦題から連想される頭カラッポなバカ映画を期待するとガッカリするかもしれんが、強烈なグロ描写に凄まじく陰険でドロッドロで重たいドラマが良い塩梅で織り込まれた、スプラッター・ドラマの隠れた逸品。

何とも救いのない、悲しい映画だが、タイトルで謙遜するには惜しい作品。
万人にはオススメしにくいが、血みどろスプラッター好きなら是非とも押さえておいて損はないぞ。