塀の中のジュリアス・シーザーを配信している動画配信サービス

『塀の中のジュリアス・シーザー』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

塀の中のジュリアス・シーザー

『塀の中のジュリアス・シーザー』に投稿された感想・評価

masayaan

masayaanの感想・評価

4.0
「文化・芸術がいったい何の役に立つのか?」という、あまり答える必要のない問いがあるけれども、しかし、出会うタイミングによっては、そのような問いがジリジリと人を苦しめるかもしれない。

本作が実話ベースで描くのは、「刑務所の塀の中で、それも長期刑囚として、シェイクスピアに出会ってしまった人たち」である。彼らは「自分の人生を決定的に分けた分岐点」として、収監された今もトラウマのように襲い掛かってくる「塀の外」での後悔や苦悩が、16世紀に書かれた戯曲の中に余すことなく描写されていることを発見する。それも、実際に劇を演じることによって。

400年前の人間が自分と同じことで苦悩し、葛藤していたことを知ること。そんな発見に満ちた舞台の上で、しかし、彼らは囚われの身のままだ。その処遇上の変化はなんら生じない。ただ魂だけが救済されるのである。それが逆説的に、新たな不自由となって彼らの囚われを強調する。その描写はとてもストレートで、「(これを勝たせる映画祭は)保守的」と言われた理由も分かる気がする。

とは言え、変に教養主義的ではないし、尺的にもさらっと見れるので悪くないです。いささか風変わりなバックステージものとして楽しみたい。
犬

犬の感想・評価

3.5


ローマ郊外にあるレビッビア刑務所では、囚人たちによる演劇実習が定期的に行われており、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」が演目に選ばれる
オーディションで配役が次々と決まっていき、本番に向けて刑務所の至るところで稽古が行われる
すると囚人たちは次第に役と同化し、刑務所はローマ帝国の様相を呈していく……

実際の刑務所を舞台に、本物の服役囚たちを起用してシェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」を演じることで起こる囚人たちの変化を描き出していく異色のドラマ

元老院

劇場のように
舞台感が良かったです

設定が斬新
囚人たちの紹介もあり

演技指導

仲間たち
それぞれのドラマ

変化が見どころ

映像も変わってる
雰囲気ありました
巨匠パオロ&ヴィットリオ・タヴィアー二兄弟監督の2012年第62回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品。
この作品を観ていると、「虚構と現実」の境が曖昧になって不思議な感覚に捉われる。
本作はローマ郊外にあるレビッビア刑務所で服役囚によって行われている演劇実習のドキュメンタリー作品。
この演劇実習は毎年様々な戯曲を刑務所内にある劇場で演じられ、一般の人々に披露されている。
「実習」とはいえ、やっていることは本格的だ。
本作で描かれる演目はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」。
先ずオーディションで出演者達が選ばれ、夫々囚人のキャラクターに合わせてキャスティング、演技指導の上、本公演に向け何度もリハーサルを行う。
彼らが出る劇場も、日本の刑務所で慰問公演が行われるような「講堂」レベルではなくて立派なもの。
映画は刑務所の様々な場所で行われる練習風景を描いていくのだが、演じる囚人が本物の役者のように、そして練習している場所が恰も「ジュリアス・シーザー暗殺」が繰り広げられているローマの様に見えてくるから不思議だ。
囚人達の台詞の遣り取りもどこまでが台詞で、どこからが彼らの「生の言葉」なのか分からなくなっていく。
真の自由を求めてシーザーを暗殺するブルータス達の姿と、鉄格子で自由を奪われている彼らの「現実」がオーバーラップしていく。
演劇の高揚感は祭りの興奮に似ている。
だから祭りの後の侘しさのように、芝居の幕が下りた時、我々も「現実」に引き戻される。
刑務所で行われたシェイクスピア劇のドキュメンタリーでありながら虚構性に満ち、創作のように錯覚させる本作品。
齢80歳を越えながら、演劇の本質を斬新な視点で描く兄弟監督の情熱にただ感服するのみである。

『塀の中のジュリアス・シーザー』に似ている作品

アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台

上映日:

2022年07月29日

製作国:

上映時間:

105分

ジャンル:

3.7

あらすじ

囚人たちの為に演技のワークショップの講師として招かれたのは、決して順風満帆とは言えない人生を歩んできた役者のエチエンヌ。彼はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を演目と決め、訳あり…

>>続きを読む

柄本家のゴドー

上映日:

2019年04月20日

製作国:

上映時間:

64分
3.7

あらすじ

人気俳優として映画、テレビで活躍する一方で、演劇ユニット“ET×2”を組む柄本 佑・時生兄弟。2014年、ふたりはサミュエル・ベケットによる不条理演劇の代表作『ゴドーを待ちながら』の公演に…

>>続きを読む

海辺のリア

上映日:

2017年06月03日

製作国:

上映時間:

105分
3.2

あらすじ

桑畑兆吉(仲代達矢)は、舞台、映画にと、役者として半世紀以上のキャリアを積み、さらに俳優養成所を主宰する大スターだった。芝居を愛し続けた、かつてのスターも、今や認知症の疑いがあり、長女・由…

>>続きを読む

ジュリアス・シーザー

製作国:

上映時間:

120分
3.2

あらすじ

紀元前44年、ローマ。終世執行官になったジュリアス・シーザーに対して、賛成派と反対派が如実になり、その中間派としてブルータスがあった。公正と誠実さで民衆に人気を持つブルータスであったが、シ…

>>続きを読む

コップ・ムービー

製作国:

上映時間:

107分
3.3

あらすじ

映画監督のアロンソ・ルイスパラシオスが、"ラブ・パトロール"として知られるテレサとモントーヤのストーリーを通じてメキシコ警察の実態に切り込む、完全オリジナルの予測不可能なドキュメンタリー。…

>>続きを読む

ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢

製作国:

上映時間:

93分
4.0

あらすじ

ニューヨークの街角に、アメリカ各地、果ては国外から集まったダンサーたちによる長い長い列ができている。彼らの願いは、16年ぶりに再演される伝説的なミュージカル「コーラスライン」の舞台に立つこ…

>>続きを読む

関連記事

【6月23日公開決定】タヴィアーニ兄弟 パオロ・タヴィアーニ監督作『遺灰は語る』