Witchkill

シュガー・ラッシュのWitchkillのレビュー・感想・評価

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)
4.6
ラプンツェル以降近年のディズニーは、黎明期〜ウォルフガングライザーマン監督期の黄金時代、人魚〜ターザンまでのルネサンス期に次ぐ、謂わば第三の隆盛期。
商業的な成功こそ過去を凌ぐが、時代背景も相俟って自由度や革新性に乏しい印象で、栄光の時代に比べやや見劣りする。
だが、リッチムーア監督の今作とズートピアだけは別格。

ルネサンス期と並行したピクサーもといジョンラセターとのシナジーにより3DCG中心の作風はその前夜から芽吹いたが、ラプンツェルからクマプーリメイク(ゴミ映画)を挟んで今作もCGでの製作となった。
CGIの弱点は極端な写実性が結局現実との乖離を際立たせてしまうところだと考える。
この弱点はかつての西欧絵画の世界でも印象派やキュビズム、フォーヴ、表現主義の克服対象だったし、逆に逆手に取ったのがシュルレアリスムとも言える。

今作はと言えば、トイストーリーのオモチャたち、モンスターズインクのモンスターワールドと同様、ゲーム世界とCGIの相性はすこぶる良く、違和感ないどころか寧ろ際どいくらいの質感を逆手に取って没入感を増加させている。西欧絵画の歴史を一足飛びに昇華しているようだ。

また、キャラクターにゲーム設定のメタ構造を活かしたり、バグをある種のトリックとして捉えたり文字通り虫として捉えたり、豊富なカメオ出演でオタクの勘ドコロを抑えたり、激烈に泣けるオチ、結構カユいところに手が届いてる。

そして極めつけはこの明らかな日本のサブカルチャーへのオマージュである。ゲームの内容はさることながら、特にシュガーラッシュ世界の色使いや設定は、世界に誇る2010年前後のTGCや青文字系雑誌などのポップカルチャーの影響下にあるのは間違いない。

エンディングはアウルシティよりAKBの方が好み。アイドルソングは好かんが、これだけはバッチリハマっている。
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