垂直落下式サミング

トーク・トゥ・ザ・デッドの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

トーク・トゥ・ザ・デッド(2012年製作の映画)
3.5
死者と会話できるアプリの存在を知ったデリヘル嬢が、幼くして亡くなった弟の霊魂と交信したことによって引き起こされる戦慄の恐怖を描いたホラーサスペンス。
死者と話せるアプリは、「相手に会いたいと言われても良いと返してはダメ!」というルールがある。これを破ると霊魂によって呪いが発動し、お命頂戴となってしまうらしい。降霊術モノでお決まりのルール「幽霊の要求は許可してはいけない」というお約束に則っている。
オバケとお話しアプリの存在を押してえくれる脳足りんの女の子は、そういうセキュリティ強そうだったのになぁ。
軽度の発達障害っぽいから、逆にアプリのルール守れてたのかもね。おばあちゃんの声であなたに会いたいわぁと言われても、あっそれはダメっすよ!みたいな。そういう頑なさか、足りない人間の強さだと思う。
でも、精神的に不安定になってしまったことで、おばあちゃんに会う道をみずから選んでしまう。ホントに悲惨でかわいそうだった。
他人の身の上話が苦手。水商売の女の子って、たまにこういう子いるよなぁ。面倒見てくれた祖母は去年死んで両親いませんとか、親に押しつけられた借金うん千万ありますとか、平気な顔であっけらかんと言う開けっ広げ系。聞いてると辛くなっちゃう。
あちらが一夜の客ごときに腹の中ぜんぶ見せてるなんて思ってないけれど、性風俗というシステムが実によくできた搾取構造であることを意識させられる瞬間。田舎のメンエスはそんなんばっかで、なんか嫌になっちゃった。金払ってまで嫌なこと考えたくない。
ある程度、健常側の社会に生きてると、けっこうロクでもない家庭で育って苦労した人たちのこと忘れそうになるから、こういう毒家庭の成れの果てを見せられると、どうしてもみていて辛くなる。
悪魔は、いちばん欲しい言葉をくれる。同時に知りたくなかった真実も。やるせないね。とかく身内をうしなった人は弱い。でも、死んだ人を思えばこそ生きられることもある。生きられなかったあなたのぶんも、幸せになってやりましょう。そのくらいの図々しさは、誰にだって権利がある。