垂直落下式サミング

STAND BY ME ドラえもんの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

STAND BY ME ドラえもん(2014年製作の映画)
3.9
感動エピソード数珠繋ぎで、最終回までのリアルタイムアタックじゃい!『ドラえもん』というコンテンツのイチバン良いオイシイところだけ抽出して、最強打線組んでみた!みたいな王道ど真ん中な特別編。あんまり批判ととらえてほしくないけど、公式ファスト動画っぽい作りではある。
語り直すにあたって、しっかりとストーリーが考えられていて、ドラえもんは「のび太の幸せの成就」という明確な目的(使命)があり、それは本作においては「しずかちゃんとの結婚」が将来に成されることだと定義づけられていて、これが達成されたらもう未来に帰るという誓約があるため、ハッキリとこの関係には「終わり」があるということを、物語内で改めて強調した作品として生まれ変わっている。
ダメなのび太を救うため、四次元ポケットからアレコレ出してくれるが、子供の問題にはアイテムを与えればいいという短絡的な解決法しかしないドラえもん。序盤はそればっかり。有名なひみつ道具のダイジェストで、懐かしくて目が楽しい。
でも、そんなの結局その場しのぎでしかなくて、ドラえもんのアイテムに頼らないで自分のちからで頑張るんだっていうのび太の姿を目の当たりにすることで、彼自信も保護者として成長して、微笑みながら帰っていく。繋げかたとしては、キレイだ。
ここからは、ちょっとした問題点。最初の前提として、ジャイ子との結婚は避けるべき未来として描かれるんだけど、セワシの持ってきた写真をみるに子沢山だし、てコトはやることやってんだから、結果としてはこの世界線でもいい夫婦やってたと思うんだけどな。
結婚前夜のジャイアン宅飲みのシーンで、漫画家デビューした未来のジャイ子も描かれる。彼女にも明るい未来があるんだと、キチンと現代的な倫理観でフォローされていたと思う。
この鼻持ちならないルッキズムは、そもそも原作の問題点なので、本作が悪いわけじゃないんだけども…。「嫁はツラと性格がいいに越したことはない!」ってF先生の関白宣言には小声で同意しますが…。3DCGしずかちゃんホントに可愛いもんな。好き。
3DCGのび太のビジュアルは苦手…。登場するキャラクターのなかで、いちばんキモいんじゃないかな?テレビアニメ版だとメガネの部分が白くて、そこを眼全体と解釈して表情をコントロールしてんだけど、この昭和のマンガなテイストを三次元的に解釈するのは難しいみたい。途中から気にならなくなったけど、最初のほうキツかった。
ジャイ子問題にはフォローがあったけど、ドラえもんセワシの奴隷問題は、「なしとげプログラム」なる追加設定のせいで、より深刻さが深まったと思う。
もう行くな、ドラえもん!ずっとここにいろ。あんなひどい未来になんか、もう二度と帰るんじゃないよ。
そんなこんなで、めっちゃ批判されてて食指が伸びなかった作品だったけど、サブカルクソ野郎共が言うほど悪いもんじゃなかったな。
秦貴博の「ひまわりの約束」は、僕をカラオケ嫌いから救ってくれた曲だから、その恩義もある。地声低くてボソボソ系で、頑張って高音だしてもヘナチョコガキンチョボイスな僕は、歌っていて様になる曲が極端に少ないんだけど、これは声帯にジャストフィット。そこそこ難しい曲のはずなのに、けっこう評判よくてうれしい。