みかんぼうや

ブラインド・マッサージのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)
3.6
中国の視覚障害者が経営するマッサージ店における、その従業員たちの群像劇。視覚障碍者が主人公=困難を乗り越えていく感動物語、という先入観を持って観始めたら大間違い。そのドキュメンタリータッチな描写の効果もあり、障碍者が感じる健常者社会との隔たりについて、そして恋愛や性について描かれた、極めて生々しい現実を描いた作品でした。

物語の内容や展開に加えて、視覚障碍者の見える世界を表現しようとした視覚効果や音響もまた印象的。観ているこちらが不安感を持つような感覚が醸成され、日々の生活を楽しみながらもどこか将来に対する不安と隣り合わせにいるような彼らの心情をよく描いているように思いました。

素晴らしい映画だと思いましたが、私も視覚障碍者で(弱視で、本作に登場するほとんどの登場人物よりはまだ視覚を保っていますが)、その生々しさ故に、観終わった後にちょっと精神的に疲れたのでこの点数。劇中の「障碍者は光に晒され、健常者は闇に隠れる」という言葉がなんとも心に刺さりました。
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