『天空からの招待状』を、台湾文化センターで開催された「チー・ポーリン監督追悼上映会」にて鑑賞。

冒頭から圧倒的な自然の美がスクリーンに映し出される。

本作は全て空撮による映像からできており、台湾の様々な姿を見せてくれる。

台湾は私たちの国から最も近い国であるが、山も海も日本の「それ」とはかなり違う。

3000メートル級の山々の頂近くまで大きな切り立った断層が見られる。山の姿も突然隆起したかのような岩山が多い。

広がる整然と区画割りされた田畑も、上空からとらえた映像で見ると、まるでパズルを組み合わせたような姿に見える。風になびく稲穂が風の模様を刻む様まで、まるでアートのように切り取られる。

映像そのものだけで、ここまで息を飲むような感動を与えてくれる作品はそうない。

自然賛歌とも言えるパートの後には、自然破壊による痛々しい山々の様子が映し出される。

台風などの自然災害のせいもあるが、被害を大きくしているのは山間部の乱開発。山頂部分まで田畑にしたり、タワーマンションを立てたり、国土の面積の4分の3が山間部だという台湾の土地不足がうかがえるが、そこから流れ出した土砂は川を汚し、ダムの貯水率まで下げてしまう。

セリフはなく、西島秀俊によるナレーションが時々入るだけだが、上空からの映像だけで説得力を持って突きつけてくる、なんと素晴らしいドキュメンタリーだろう。

チー・ポーリン監督は、今年の６月に次回作の撮影中にヘリコプターが墜落して不慮の死を遂げた。次回作には台湾と日本との絆も描く予定で、日本パートは桜の季節に取り終わっていたという。ご冥福をお祈りします。

空は全てを見ていた。﹙たぶん﹚

長年、航空写真家として活躍してきた監督が全編空撮という手法で台湾の現在を見つめたドキュメンタリー。

足型ミステリーサークルのポスターを見て、ずっと鑑賞したかった本作。
序盤から途轍もなく美しい絶景、絶景、絶景のオンパレードで心華やぐ〜( ◜◡◝ )✼ஐ｡

からの、フリーフォールにでも乗ったような感覚にさせられるゾッとする映像と真実を突き付けられる。いきなり饒舌になるナレーション…
確かに、もの凄く考えさせられるし目が離せないんだけど若干﹙いや、結構﹚しつこかった。。
問題提起した後に映る画が観光地だったのもンー…って思ってしまった。

でも、この作品を観る直前に台湾が舞台の『セデック・バレ』を観ていたので、色々と感慨深くて倍は楽しめた。﹙はず﹚
ビヨ〜ン♪って音楽が本作でも流れ、台湾名物なのかなと思ったら音楽担当の方が同じだった笑

2015.09.14DVDレンタル

• #映像のドンデン返しや〜
• #思ってたんと違う
• #明日我が
• #寝ちまった
• #リベンジ済

この作品の予告編を観ると台湾観光PR映画のように感じられるが、実際に鑑賞してみると社会派ドキュメンタリーだった。
本作の企画・監督・撮影・編集まで一人でこなしたチー・ポーリン監督の情熱と労力には脱帽してしまうが、膨大な撮影資金を調達するのに相当苦労したらしい。
そんな苦労を克服して撮影された風光明媚な台湾のパノラマは息を呑む程美しい。
ただこの映画は美しいだけの作品ではない。
チー・ポーリン監督は政府の航空写真家だっただけに、ジャーナリスティックな視点で台湾の今を切り取っていく。
台湾は文化や風土、自然等において日本とは違うが、映画に登場する田園風景やそこで営まわれる生活は似通っていて親近感を覚える。
映画の冒頭で台湾の圧倒的な美しさが映し出されるので、転調した中盤以降に展開する台湾の現状は、正に監督による「空からの告発」だと思う。
愛国者の立場から台湾を俯瞰して描いた作品ではあるが、この作品のテーマは決して我々にとって無関係なことではない。
本作で訴えていることは日本にも当てはまることだし、更には世界規模で考え、取り組んでいかなければならないことだと思う。
映画は現状を告発するだけでなく、最後に未来に向けての提言を我々に投げ掛ける。
「児孫のために美田を買わず」という西郷隆盛が残した名言があるが、現代は逆に金や労力を惜しまず児孫のために美田を残していかなければならないのだと思う。