垂直落下式サミング

ゴーストバスターズの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴーストバスターズ(2016年製作の映画)
4.0
傑作SFコメディ作品のリメイク。
子供の頃にレンタルビデオで観たビル・マーレイ版が30年前以上も映画だということに驚いた。オリジナルはサタデー・ナイト・ライブ出身者たちの気楽なノリと、お馴染みのNOゴーストマークのロゴをはじめマシュマロマン等ゴースト達の可愛らしいデザインが非常にキャッチーな映画で、80年代を象徴する作品のひとつであることは間違いないだろう。
話は変わりますが、私はオカルト研究家の方々のことが好きで、丹波哲郎大先生をはじめ、矢追純一氏や山口敏太郎先生に強い憧れを感じるときがある。いい大人が霊魂やU.F.Oについて真剣に語る姿は一周回って格好良い。『ゴーストバスターズ』もおなじで、途方もない夢を信じ追い続けてしまった冴えない大人達が一時の喝采を浴びハジける映画なのだ。
本作のポール・フェイグ監督は前作『スパイ』でジェイソン・ステイサムを脇役に配しながら、作劇のなかで見事にコントロールするなど、役者の持ち味を上手く活かす手腕に定評がある作家。
本作は『ブライズメイズ/史上最悪のウエディングプラン』や『デンジャラスバディ』等と同じく女性を主役にしたコメディ作品で、メリッサ・マッカーシをはじめお馴染みのメンバーを起用したスターキャスティングのチーム女子映画であるというのも大きな見所のひとつ。かつての親友や新しい仲間との関係性に萌える。四人とも素晴らしいコメディ女優だ。
ケイト・マッキノン等サタデー・ナイト・ライブ組はもちろん、マイティソーを演じたマッチョ兄貴まで全員ちゃんとバカにみえるのが偉い。
最近は過去のヒット作品のリメイクやリブートも珍しくないが、本作は80年代のジョー・ダンテやリチャード・ドナー作品の牧歌的なファミリームービーのお気楽な空気感をそのまま現代に持ってくることに成功していて、逆に新鮮な懐かしさを感じた。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のように、捕獲装置プルトンパックの原子核融合炉の設定を変更しなかったことも好印象だ。
不満点があるとすれば、今回の女性版は人々の前で幽霊を撃退する場面が少なく、最終的に実態の定かでない影のトラブルバスター的な立ち位置に落ち着いてしまうので、町の人気者になってニューヨーカーから喝采を浴びる描写が少なかったことですかね。あとテーマ曲のちょいアレンジがコレじゃない感がする。
『ヴィンセントが教えてくれたこと』で見事なグラントリノっぷりをみせたビル・マーレイ等の旧作キャストのカメオ出演や、日本が誇る芸達者コメディエンヌ友近と、インスタクイーン渡辺直美が務める主役二人の吹き替えにも注目。