垂直落下式サミング

シャザム!の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

シャザム!(2019年製作の映画)
3.5
身寄りのない孤児の少年が、魔術師から選ばれし者と認められ、特別な力を授けられる。少年は魔法の言葉を唱えることで、たくましい大人のヒーローに変身。しかし、スーパーパワーを手に入れて調子に乗る彼の前に、悪の科学者が現れる。
変身するときの“Shazam!”という掛け声は、それぞれのアルファベットが神様の力を象徴しているとのこと。ソロモン王の知恵、ヘラクレスの怪力、アトラスのスタミナ、ゼウスの全能、アキレスの勇気、メルクリウスのスピード!
最初、メルクリウスって聞き馴染み無さすぎて、なんや?と思って調べたら、ヘルメスの別名とのこと。マーキュリー(Mercury)でしたか。
てか、アトラスってゼウスに負けて、罰としてドでかい天球を担がされてる巨人のおじさんだから、確かにスタミナはヤバイと思うけど、好きでやってるわけじゃないし、敗北者の名を関するのもあんまりどうかなって思いますけどね。
それに、有名なヘラクレスの十二の試練のなかでふたりは絡みがあって、ヘラクレスも同じ天球を持ち上げられるくらい強いっていうエピソードがあるから、やっぱ能力が被ってるのでアトラスは変えた方がいい。
名前がアルファベットのAからはじまって、神話上の人物か、誰もが認めるところの英傑となると、アレキサンダー大王とかが適任なんじゃないっすかね。Alexandrosの苛烈さ。ヒーローには似つかわしくないか…。
一番好きなシーンは、初変身のところ。これまでクールな男の子だったのに、シャザムになってから超テンション上がって、友だちになった松葉杖とオオハシャギするオトコノコ感をみせてくれるところは、とてつもなく幸福だった。
シャザム!は、わりに歴史のあるコミックヒーローらしく、エルヴィス・プレスリーの映画でも、エルヴィスが少年時代に憧れたヒーローとしてチョロっと出てくる。プレスリーのキンキラキン衣装や、イナズマのモチーフだとかはこれが元ネタっぽいから驚いた。
あの映画独自の解釈ではあるのかもしれないけれど、主人公が魔術師からスーパーパワーを授かる場所“Rock of Eternity”を「永遠のロックンロールを手に入れる」と意味を読み替えていたのも、ぐっと来るものがある。子供のころにみたものって、やっぱり人生の指針となるんですね。