ヒチ

ロックス・イン・マイ・ポケッツのヒチのレビュー・感想・評価

3.8
心の病を患っている主人公(監督)は、自らの病のルーツを探るために心を病んでいたと思われる祖母について調べることを思いつく。そしてそれは、祖父の見果てぬ夢とラトビアの激動の時代に狂わされる一家と、祖母から受け継がれる病で自殺していった親族達の負の歴史を辿る旅でもあった。

かなり悲劇的な物語の連続なんだけど、それが主人公のユーモア溢れる語りとアニメーションで描かれることによって陰鬱にならないところが良かった。このような語り口で自らの病の歴史を語れるということは、主人公(監督)自身が病を受け入れその原因となった祖母を許しているということでそれが何よりも救いだと感じた。ラストシーンもそのことを表しているんだと思う。もしかしたら、この作品自体が監督が自分の病気と折り合いをつけるための役割を果たしていたんじゃないかな。

ありがたいことに、vimeoで日本語字幕付きで観られる。主人公と同じように「ポケットの中の小石」に苦しめられている人、小石との付き合い方に困っている人は特に見る価値があると思う。
ヒチ

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