ぽち

美しい星のぽちのレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
3.6
想像以上に楽しめた作品。
ただ、原作の良さが大部分を占めるのも事実。

時代設定を現代にして、問題の中心を「温暖化」としたのは英断だっと言えるが、原作でのクライマックスである重一郎と羽黒の激論が、今作では重一郎と黒木に変わり、討論内容も「温暖化」に絞られていて、これが弱い。

小説ほど「ガツン」とくるものが無いのが実に残念。

でも、黒木の主張などかなり考えてありこれは個人的に好感が持てた内容だろう。

さて、元来SFは反政府や体勢に対する批判を隠す隠れ蓑として、多くの小説家や思想家に使われてきた歴史がある。
大切なのはその主張であり、SF的考察は二の次であった。

三島由紀夫の原作ものこカテゴリーに入る古典的な物で、それを元にしているので、今作のようないい加減で無茶苦茶な設定での描き方はアリだし、原作を読んだものにはすんなりと入る設定だが、映画として、エンターテイメントとしてはやはり片手落ちと言わざるおえない。

ここまでユルイ設定なら、いっそコメディにしてしまったほうが潔かったかも。

素晴らしいクオリティを持っている原作なので、見方も厳しくなってしまうが、一本の作品として個人的に好みに合った「つぼ」の作品。
特に水星人の黒木の温暖化に対する主張はかなり正しいと思う。



余談。
いっそコメディに・・・・

大好きな大友克洋の短編「宇宙パトロール・シゲマ」ぐらいはじけちゃってくれたら、まったく別の意味でエンターテイメントで来たのになぁ。

って言うか、せめて飛びたつ宇宙船ぐらいは映像化してほしかったかな。
ぽち

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