うっちー

王の運命 歴史を変えた八日間のうっちーのレビュー・感想・評価

3.6
ちょっと前に観ましたが、あまりに悲惨過ぎて……。王家ならではの厳しさというのはあろうが、ここまで親は非情になれるものでしょうか。

大好きなソン・ガンホの出演作で苦手なのは『復讐者に憐れみを』でしたが、それを上回る嫌悪感。改めてすごい俳優さんだと思います。
子供とはいえ、別の人間だし、半分は他人である妻の血が入ってるのだから、何が好きでどんな性格かは父親がコントロールできるものではない。それを意のままにならないからと退け、果てにはあんな沙汰を加えるなんて、王が人として成熟してない証拠だー、と強く主張したくなる展開。もう、辛くてつらくて。
こういう葛藤、母と娘のが強いのかと思いきや、男親も同じなんだなぁと。

王に疎まれ、米櫃に押し込められる悲劇の王子を演じるユ・アイン。ほんとに上手い。この人の自然で肉体的というか、身体ごとの存在感と切ない眼差しは、ほんとに観るものを揺さぶる力がある。最期、だんだん錯乱して狂っていく様子も凄かった。
幼い息子が水を一杯運んでくるシーンは、ほんとに勘弁して、という感じだった。辛すぎて。こんなトラウマ、当事者だけでなく、周りにいて観ている従者たちにだって被害甚大なはず。思い出すだに腹立たしい……。
しかし、時代劇装束も似合う鳥顔の王子、ユ・アイン。ますます好きになりました。

ひたすら悲惨な展開を淡々と追う映画なので、正直かなり地味。超リアリズムというか。それで一体何を伝えようとしたのだろうというところは、ちょっと不明瞭だったようにおもう。


余談;
最期に登場する、大きくなった息子は、なんか男前だなと思ってたら、ソ・ジソプですか。なんと! 辛過ぎる話に爽やかな風を、って気にも、やはりならない笑。あの死後硬直……。
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