Uえい

大切なのは愛することのUえいのレビュー・感想・評価

大切なのは愛すること(1975年製作の映画)
3.5
アンジェイ・ズラウスキー監督は「ポゼッション」が大好きで、他は見た事がなかった。あの雰囲気は監督の作風だという事がわかり、他の作品が見たくなる。

かつて女優として一線で活躍していたナディーヌは、生活のためB級のポルノまがいの映画に出演していた。そんな中、カメラマンのセルヴェに恋をする。しかし彼女には夫がいた。こんなメロドラマ的ストーリーだが、独特の激しさが随所に光る。

セルヴェはナディーヌに応えられないでいた。彼はギャングの叔父に育てられ、乱交などアブノーマルな行為の写真を撮らされていた。彼はナディーヌの生活を助けるために叔父から借金をする。

同じ様なシーンを繰り返しているのが印象的だった。ナディーヌとセルヴェが向き合い、彼女の顔にズームする、と同時に音楽が流れる。なんだかギャグっぽくも見えてくるが、ナディーヌの目線から溢れる愛と、応えられずにいるセルヴェが向き合う。繰り返すうちに二人の間の壁が強調される。

カメラもカメラマンの存在を意識してしまうほどぬるぬる動く。初めの奥行きの移動を活用したシーンからグッと心を掴まれた。そして、初めと最後のシーンが鏡写しの様になっている。初めはナディーヌがB級映画を撮影しているシーンで、血まみれの俳優に愛していると言う必要があるが、言えなかった。最後、セルヴェが叔父の仕事を抜けるために暴行され、血まみれの中、ナディーヌが現れ、愛していると伝える事ができる。血まみれや過剰な演出の中、ピュアな愛が逆に強調されていた。
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