みおこし

ハレルヤのみおこしのレビュー・感想・評価

ハレルヤ(1929年製作の映画)
3.2
『ブラックパンサー』という画期的な映画観賞を記念して、史上初のオール黒人キャストの作品にチャレンジ!1929年、つまりトーキーが始まって間もない年にこんな映画を作っていた巨匠キング・ヴィダー、すごい...!

ミシシッピー河沿いの村で、綿花を栽培し生計を立てているジョンソン家の長男ジークは次男のスパンクを連れて街に繰り出す。綿花の売り上げに浮かれ、その金をギャンブルに使ってしまう。妖艶な踊り子のチックにも誘惑され、ついつい遊びが過ぎてしまうが...。

道を踏み外した者が信仰に目覚め、周りの人も変えていくという筋書き。終始悲しいゴスペルを歌い続け、神に祈りを捧げるシーンが続きます。淀川長治さんの解説にもありましたが、歴史上初めて大衆映画の中で黒人の人々の信仰心であるとか、貧しさなどの現実的な側面にフォーカスした作品なので、なんとも言えないもの悲しさが漂っています。
本作はそんな黒人の人々が、自分たちの思いを込めたゴスペルを観客たちに聴かせるという趣旨もあって制作されたとのこと、これはトーキー映画だからなせる技ですね。
耳でも目でも、黒人の人々のあの歌と踊りを銀幕で目にすることができるということで、当時の人々はたいそう驚いただろうなと。しかしながら、本作で描かれている黒人の人々は白人がイメージするステレオタイプな彼らの姿だったのかもしれないので、当時これをもし黒人が目にする機会があったらどんな感想を抱いたのかが気になるところでもあります。

列車のシーンや川のシーンでのカメラのあのダイナミックな動き!果たしてどう撮影しているのかと不思議に思います。MGMミュージカルのノリを想定して観たのでギャップに度肝を抜かれましたが(笑)ソウルフルな歌声と軽快なダンスは圧巻!
...それにしてもチックの悪女ぶりは腹が立ちますね(笑)。
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