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ワンダー 君は太陽のYYamadaのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.2
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
ワンダー 君は太陽 (2017)
◆主人公のポジション
生まれつきの障がいを持つ少年
◆該当する人間感情
 恐れ、動揺、希望、積極性

〈本作の粗筋〉
・10歳の少年オギーはトリーチャーコリンズ症候群が原因で顔の形が変形しており、27回の手術を受けるなど入退院を繰り返していたが、容態が安定したオギーは学校に通うようになる。
・オギーは、級友たちのいじめを受けふさぎこんでしまうが、両親の励ましを受け、懸命に行動を起こす。級友たちも、彼との交流を通して「人間の内面の価値には外見で推し量れないものがある」ということを学んでいき、相互理解を得るようになる…。

〈見処〉
①僕は10歳、普通の子じゃない——
家族と離れ、ついに小学校へ踏み出す
・『ワンダー 君は太陽』は、2017年に製作されたヒューマン・ドラマ。全世界で800万部以上を売り上げた同名ベストセラー小説を『ウォールフラワー』のスティーブン・チョボウスキー監督・脚本を務め、映画化されたもの。
・本作の主人公オギーを演じるのは、ブリー・ラーソン主演の『ルーム』(2015)で世界中から注目を集めた、天才子役ジェイコブ・トレンブレイ。
・共演は『エリン・ブロコビッチ』のジュリア・ロバーツが母イザベル役、『ナイト ミュージアム』のオーウェン・ウィルソンが父ネート役をそれぞれ演じる。
・本作は、製作費2000万ドルに対して興行収入が2億8500万ドルを超える成功を収めた。

②結び…本作の見処は?
◎: 主人公オギーによる偏見との戦いを描いているだけではなく、彼を取り巻く3人のキャラクター「オギーの姉のヴィア」「ヴィアの親友だったミランダ」「オギーの親友になるジャック」の時系を巻き戻し、それぞれの視点による章だてのストーリーを描き直している。オギーの立場だけではない、障がいを抱えた人との関わりをニュートラルに描くことで「差別反対」と安易に断罪してはいけないことが理解出来る。
◎: 一方、本作序盤にオギーを見つめる級友たちの視線や振る舞いにリアリティーがあり、「偏見と差別」だけではない「初めて目にしたものに対する驚き」も交ざった、障がいを抱える方の心労を軽減するハードルの高さを物語っている。
◎: オギー自身の魅力である「純朴なこころ」「努力を惜しまぬ姿」「個性的なユーモア」が作品全体をポジティブなオーラで包んでいる。ジュリア・ロバーツやオーウェン・ウィルソンら、オギーを取り巻く家族や友人もみな温かく、作中唯一のイヤな奴、クラスメートのジュリアンさえも反省の姿勢を描く清々しさが本作にはある。

③本作から得られる「人生の学び」
・「人を見た目で判断しない」「相手の立場になって考える」——その根本は「相手を受容すること」にある。
・良い環境では、良い子供が育つ。だから、親は良い環境を作る努力を怠ってはいけない。
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