Melko

バンコクナイツのMelkoのレビュー・感想・評価

バンコクナイツ(2016年製作の映画)
3.8
「ここはクソみたいな奴らが金持って遊びに来るところだけど、この子達は命かかってるからね。」

家族のために泥臭く働く女と
ここぞと言う時に覚悟のない男

空族、ラッキーなことにまた見れた!

ギラギラとネオン輝くタイ・バンコク
身を売り働く、見目美しい女たち
ある者はドラッグ漬け、体重増えた分の罰金取られ、親兄弟のために働き、親に家を建てる
女たちにはそれぞれストーリーがあり、今日も逞しく男に媚を売り、笑顔で手を振りカタコトの日本語を話し愛嬌を振り撒き、客の性の要求に精一杯答える
お金が欲しい
幸せになるにはお金が要る
泥臭くもプライドを持って力強く生きる、店のNo.1嬢ラック

元自衛隊のオザワ(ティラック)は金なし職なし甲斐性なし
オザワとラックは腐れ縁
くっつきそうでくっつかない
近づきそうでなかなか近づかない仲
それもこれも、オザワがフラフラしてるから 何考えてるのか、どうしたいのか分からないから
その点ラックの願望はハッキリしてる
家族みんなで幸せに暮らしたい。そのためにお金を稼ぐ
彼女の母も、その母も、身を売って生計を立てていた
貧しさが全ての根源なのか
それしか働く術がなく、いつまで経っても先の見えない生活に心が折れそうになる
同僚の前で、好きな男の前で、精一杯強がるラック
そうしないと潰れてしまいそうだから
折れてしまいそうだから
No.1嬢だって一人の女の子
だから支えてやって欲しい 痛いほど女側の気持ちがわかるから、ここぞと言う時にフラフラしてばかりのオザワにイライラしてしまう
「日本人で良かったですね」って日本人に当て付けのように言い放つオザワ。
何事も逃げてばかりのこの男が、最後の最後で武装しながらもようやく生きていく覚悟を決めたところは良かった。

戦争の記憶も色濃く残るタイ
突然の爆撃音に心臓がドキッッ
貧しいからといって自らを安売りするのではなく、薬にも男にも頼るのでもなく、どうか力強く生きて欲しい
私も強く生きる

まあ〜〜それにしてもミニシアターで3時間はなかなかキツい…
会場は満席に近かった。見切ったみんなはまさに同志…!!
サウダーヂより30分ぐらい長いこの作品、実際はサウダーヂより短く感じたんだよな。だって前作と比べ物にならないぐらいの映像美と自然美。
空撮が多かったのも目にビビッとくる。
独特のBGMも良かった。
サウダーヂの面々がキャストでホッコリ。
オザワは監督だったのか…!

そして何より、何とも言えずハードな内容を見た後の、和気藹々なメイキング映像がバックに流れるエンドロールで、ほっこり。
Melko

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