垂直落下式サミング

映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
夏の暑さに耐えかねたドラえもんとのび太が南極に涼みに行くが、そこで10万年前から氷漬けになっていた金のリングを見つける。のび太たちは落とし主を探すため、10万年前の南極に行ってみるのだが…。大長編には原作のないオリジナル作品。
原作がないとか言いつつ、ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』を下敷きにしているとかで、公開時に一部のモノ好き達のあいだでは話題となっていた。
舞台は南極。翻訳コンニャクは南極では凍るから、茹でてから食べないといけないみたいな、いちいち細かいディティールにこだわってるのが、藤子・F・不二雄らしい語り口だから気に入った。
南極の吹雪の中や、謎の古代遺跡を冒険していく狂気山脈な前半は良かったけれど、敵と戦う後半は絵が単調になって持たない。前半と後半で物語のノリが変わって深刻になりすぎると、何が起こってるのか見失いそうになっちゃう。このバランスのとりかたは、他のドラえもん映画でも苦心のみられるところ。
謎の少女カーラの声はくぎゅう。お砂糖多めなアニメボイス声優は、劇場版のゲストキャラくらいでちょうどいい。新しい絵柄は、しずかちゃんまで可愛すぎて困っちゃうな。ウィンターレジャーなモコモコ女子が好きなので、のび太と一緒に「似合ってるー!」って叫びたかった!
敵は、世界すべてを凍らせるほどの力を持った氷雪系最強。死を覚悟したドラえもんが、モフモフまで死ぬことはないからと、冬眠の段取りを整えてあげるのにヒューマニズムを感じる。半ば諦めかけていたドラえもんの命を救うのは、ラッキーアイテムの星マーク。ドラミの占いを伏線にして、ちょっとだけオカルトを匂わせている。
ちなみに、乾電池は冷蔵庫で保管するといいみたいなのは嘘。安全上の問題があるので、やらないでください。この映画みたいに、寒いところで保管してたのを、寒いところで使うんなら一応問題ないです。