まくないと

ゴールデン・アームズ 導かれし者のまくないとのレビュー・感想・評価

3.2
一子相伝の武術の伝承者を象徴する黄金の杖を巡る権謀術数。

後継者に指名されなかった弟子が、手段を選ばず卑劣な裏切りに及ぶ。

ノスタルジーさえ感じるような話で、流れとしては独自な部分は少ない。

だが、時折挟まれる東ヌサ・トゥンガラ州の絶景や、日にちの経過を月の満ち欠けで表す辺りの情緒は素晴らしく、時代は明示されないものの、まるで伝説の世界のように感じる演出は光る。
ブギス族出身のタラ・バスロのエキゾチックさもこれに一役買っている。

こういった国柄の美点を充分に理解し形にした部分を見逃し、ただストーリーが凡庸だとして評価を下げてしまうのは勿体ない。

この頃より東南アジア各国でシラットの再評価が進んでいるように思える。
その流れがいくつもの作品に反映されているのは、映画好きには何とも喜ばしいことだと思う。