甲冑

ファーティマの詩の甲冑のレビュー・感想・評価

ファーティマの詩(2015年製作の映画)
3.5
アルジェリアからフランスに移住したリヨン郊外の団地住まいの40代女性と二人の娘の話。アラビア語を第一言語としているので仏語が流暢でない母と仏語で答える娘たちの会話は常にぎくしゃく。就ける仕事が限られる為、家政婦業で養うも召使として搾取されていると言われ関係もぎくしゃく。彼女はメモ帳に考えを綴る習慣があるのだが拙い仏語とは裏腹にそこでは全て理解し整理している。私も人に心情を吐露する機会がなくノートとばかり対話しているので良いよね…と共感した。19世紀以来の植民地支配の流れからフランスで暮らすムスリム移民は全人口の7%強との事で、主催の藤本さんからはイスラモフォビア問題にも言及があった。スケープゴートと社会安定の関係はいつまでも続く。

(メモ)
フランスの「国籍法」
フランスは日本と同じく血統主義を採用しているため、父母の一方がフランス国民であればフランス人国籍を取得できる。また出生地主義も採っており、両親がともに外国人であっても本人がフランス生まれであれば18歳になると同時にフランス国籍を取得することができる。フランスでは公式統計で市民の人種・民族を明らかにすることが禁じられており、例えば「移民2世」といった概念は(建前上)存在しない。

「郊外(バンリュー)と移民―映画から読み解くフランスの移民事情」
同志社大学社会学部教授 森千香子氏のスライドより
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