そっちもサラバしちゃったかぁてはなし。
「音楽や映画、小説などあらゆる娯楽を禁止する法律が施行された日本」が舞台なんだと映画の冒頭で教わる。
予告でもそこははじめに伝えられ、フィルマや映画.comでもそういった紹介がなされている。
そこで「青年が音楽に出会う」とかいうめちゃくちゃ面白そうな話に興味津々で観てみた。
そもそもなぜ娯楽を禁止したのか、たぶん2つのうちのどっちかだと思う。
①国民を堕落させないため。
(でも娯楽奪ったら、どんどん悪い方向にいくなんて分かりきったこと。)
②国家への反逆につながる表現力を消したかったため。
(でも賢い人も腕っ節のある人もいるということは、反逆につながるものを消しきれていなかった。)
まぁいいや。話を戻そう。
先ほど述べた通り、説明がなされて映画が始まる。
冒頭、髪をがっつりワックスで整え、耳にはピアスをつけ、かっこいいアウターをまとい、さらにはサングラスをかけた斎藤工が出てくる。
なるほど、公僕が公然とファッションに浸かっているということは②は全然違うわけだな。
斎藤工がガムを噛んでいる。飴を舐めている。
なるほど、娯楽が禁止された一方で嗜好品が好まれているということは①はやっぱり違うんだな。
その斎藤工は、音楽が大嫌いなようだが、音楽に彩られた部屋を放置する。
その部屋の住人つまり、音楽の住人をギターで殴ったりCDで刺したりする。
なるほど、娯楽や文化を嫌う人物も皮肉なことをする感性はお持ちんだな。
ミズト(吉村界人)とトキオ(若葉竜也)が文字を読みながら言う「サノバノイズ…」
なるほど、物語を紡ぐ道具でもある文字は、娯楽には繋がらないんだな。
映画はさらに続く。
なるほど、なるほど、なるほど、、、
萎えた。
ミズトとトキオが音楽に出会って叫びに叫ぶところは凄かったが、そこがピークであとは下り坂だ。
だいたい斎藤工のキャラクターも臭すぎて見てられない。
魂の震える映画を観たいなと思った。生産性高く効率的な完璧とやらに真っ向から挑む、そんな強く狂う映画。
しかし今作の敵はまるで完璧じゃないし、それを行使する人物もすべてズレてるし、挙句の果てに主人公の行き着く先にあったものはほんとにただの娯楽だったし。
いや、「自由に楽しんじゃいけないのかよ!」という作品ならば納得だけど、じゃあ設定をもうちょっと何とかしてほしいという思いがある。
ヒカリ(SUMIRE)もゾンビみたいに死んでるし、ほんとにミズオとトキオのとこだけでよかったわ。
まじめにおもしろくなかった。