回想シーンでご飯3杯いける

ふたりの旅路の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ふたりの旅路(2016年製作の映画)
3.5
1週間ほど前に観ていたものの、敢えて今日までレビューを控えていた。というのも、この作品、阪神大震災がストーリーの背景に大きく関わっているのだ。

桃井かおり演じるケイコがラトビアの首都リガで開催される着物ショーに参加するところから物語が始まる。そこでケイコに話しかけてくる羽織袴姿のイッセー尾形。何だか2人はつんけんしている。でも仲が悪いというわけでも無さそうな関係。

この前半の展開がとても不思議な感じで、海外ロケという事もあり、一体どういう話なのかすじ道が全然見えてこない。しかし2人の役者としての力量から、訳が分からないままどんどん引き込まれるのだ。

やがて、その男が阪神大震災で行方不明になったケイコの夫である事が明かされる。つまりは幽霊である。震災で別れ別れになった夫婦の、奇妙でコミカル、そして切ない会話劇。特にイッセーはかなりアドリブを挟み込んでいるようで、作品に唯一無二の個性を持ち込んでいる。万人に受ける作品ではないだろうが、人と人との繋がりについて考えさせられる。口喧嘩も幸せのひとつの形だ。