海老

映画 ドライブヘッド~トミカハイパーレスキュー 機動救急警察~の海老のレビュー・感想・評価

2.7
原動機を動力とする車輌が有り、
傍に童心を携えた少年が在るならば、
その車輌が人型兵器に変形する浪漫は、もはや止められぬ宿命である。
ー トーマス・アルバ・エジソン

そんな格言がある。
などと嘘八百を並べたくなる程には、昔から車輌運搬具は変形するロボットであると等式が成り立つものです。自動車も、特殊車両も、飛行機も、電車も。
子供の頃の思い出の変形ロボと言えばトランスフォーマー。オートボッツのオプティマスではなく、サイバトロンのコンボイ。
「マイケルベイ監督じゃないの?」
違うんですよ。
「知ってるよ。ゴリラでしょ。」
うん、それも微妙に新しいんだ。僕が知っているのはあくまでトレーラーのコンボイ。ゴリラのコンボイはあまり知らない。「イボンコぺったんこ!」とか言われても分からん。やめなさい。若い子には通じないから。

さて、話は逸れたが、要するに昔ながらのロボットアニメの現代版である、と言いたいのはお分かり頂けただろうか。

とは言ったものの、実は今作のテレビ版は観た事が無くて、娘共々、一見さんとしての鑑賞となる。劇場版から得られた今作のバックボーン及び粗筋は以下の通り。

・自動車が胸部以上のパーツとなり、他の車両と合体して人型となる
(だからドライブヘッド?打ち込み頭って)
・制御に人工知能が搭載されているっぽい
(イマドキ。いや、昔からそうか。)
・正義回路という未解析の機構が組み込まれている
(恐らくはロストテクノロジーの設定に燃え)
・正義回路と適合するパイロットが必要であり、小学生の4人が適合者であり主人公
(子供の夢をしっかり掴む)
・災害のレスキュー活動を主目的とする
(割には破壊兵器が過積載である)
・パイロットは正体を知られてはならない
(お約束。理由は不明。しかしこの設定があるからこそ、全国の子供は自らの正体が実はパイロットと妄想できる)
・学校の先生も正体を知らないが、出撃命令は授業中にも当然くる
(怪しくなってきた)
・トイレに行くふりで出撃
(トイレ長過ぎ問題は何処へ)
・基地への直通ルートは体育館の跳び箱の下
(発見余裕です)
・システムバックアップなどの単語が平気で出てくる
(今時の子供は知識があって当然なのか)
・今作の敵は他惑星を地球相当の環境に開拓可能なアンドロイドが暴走したもの
(今時の子供はテラフォーミングなんて知ってるのか)
・月を地球に変えれる故に地球を月にも変えれる
(どういうことだってばよ)
・能力が強大すぎてシミュレーション空間での破壊行動が現実に伝播する
(だからどういうことだってばよ)

なかなかに無茶しやがる。コナン君も「あり得ないだろバーロー」と言いだしそうなものである。お前がいうな。

しかしロボットアニメにおいて重要なのは、変形するロボットが八面六臂の活躍をする事と、パイロットに自身を投影できる事なのだろうと改めて思います。設定の無茶を言い出せば、そもそも機械の変形そのものに必然性が無くなってしまい、浪漫がない。大切なのは浪漫であり、リアリティなんてポップコーンと一緒に摘んでしまえばいいのだ。

鑑賞していた子供達の目の輝き。
生活に根差す技術がどれだけ進歩しようとも、変形ロボットに齧り付く子供の姿勢は、今も昔も変わらないなと、そんな安堵とも感慨ともつかない心地で劇場を見渡した。

機械があり、子供がいる。
今も昔も変わらない浪漫が、いつも傍にある。






でも映画は面白くなかったです。
海老

海老