emily

シックス・バルーンのemilyのレビュー・感想・評価

シックス・バルーン(2018年製作の映画)
3.3
2歳の姪っ子とヘロイン中毒の弟を車に乗せ、デトックス施設を求め彷徨うケイティ。心は海の底へ沈んでいくのを感じながら、弟を助けるため彼女が取る行動とは。。

ケイティの心の声はナレーション的に第10章まで綴られていく。冒頭から噛み合わない親子の会話、パーティーの準備に苛立ちと、突然始まる口論を、不穏なカメラワークで綴る。暗い色彩、閉鎖的で揺れるカメラ、アップを多用し緊迫した空気を作り上げる。

弟の変貌、姉として人として追い込まれ、姪っ子をかかえ、姉としての選択をする。ぶくぶくと沈んでいく海底で、取り返しがつかないことをわかっていながら、弟の今を救おうとする。常に海底の音が渦巻き、今の弟の笑顔に安堵し、煌びやかな時間を過ごす。しかし束の間の幸せは絶望への一歩かもしれない。その選択は大事なものを永遠に失う一歩かもしれない。

愛してるなら今の笑顔ではなく未来を見ないといけない。その甘さは相手に対しての甘さではなく、自分への甘さだ。嫌われても憎まれても、いっしょに沈んではいけない。しっかり引き上げて前に進まなくては。。
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