とらキチ

ランガスタラムのとらキチのレビュー・感想・評価

ランガスタラム(2018年製作の映画)
4.2
「RRR」でお馴染みラーム・チャランが「役者人生の転換点」と語る作品。
1980年代、インド南東部の農村を舞台(ランガスタラム)としたラーム演じる主人公チッティの恋模様とともに、村の民から私腹を肥やし支配する貸金業者に対して彼とその兄が立ち向かっていく姿を描く。
純朴さと粗野な面を備えたチッティの姿をイキイキと描く序盤から、兄が選挙に立候補し村長である“プレジデント”と対立する中盤以降のシリアスな展開とで、かなり作品の色彩が変わり最後には思わぬ結末が待ち受ける。あまりのシビアさに序盤の踊りも含めた陽気で明るかった雰囲気が恋しくなるほど。でもこのストーリーの展開推進力とその幅こそがインド映画たるところ。そしてこの“ランガスタラム”の状況こそ、実は洋の東西を問わずある意味“世界の縮図”なのだと言えるのでは。
今作の“チッティ”を経て「RRR」の“ラーマ”へと繋がっていったのだなぁ…と思い馳せる事が出来る、とても意義深い作品。
とらキチ

とらキチ