垂直落下式サミング

孤狼の血 LEVEL2の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.3
おいでよ、どうぶつの森。
親狼が野犬の群れに噛み殺されてから、ずっと森の主だった一匹狼。睨みをきかせながら彼が通れば、みな尻尾を振って付き従う。獣たちは、そこでエサを分けあって生きていた。
そこに、腹を空かせた一頭の猛獣が檻から解かれる。戻って来るなり、群れのなかで共食いをはじめるような血の気の多いやつだ。
血のにおいは、すぐに充満した。首輪つきたちは一斉に手綱をはなれ、肥えた豚たちは次々と喰われる。猿は騒ぎたて、狐が化かし、狸は化ける。
狩猟の味は、滴り落ちるほど豊潤。赤く染まったナワバリをみて、狼は唸った。彼もまた血を欲する獣だったのだ。時代の黄昏に居合わせてしまった絶滅危惧種は、犬か狐か狼か。この味を覚えれば、もう後戻りできない。吠える獲物の喉元へ。天下国家の往来は、俺の狩り場だ。
いにしえのヤクザたちの狩猟本能を取り戻すには、溌剌とした若さが足りなかった。中途半端に東映復古を狙って、オッサンの映画になってしまっていた前作より、今回のほうが好み。耳元には絶滅種のうなり声。女子供も噛み殺してやる気概を感じる。