ヨーク

映画ドラえもん のび太の月面探査記のヨークのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

劇場でドラえもんの映画を観るのは『新日本誕生』以来で数年ぶりですかね。『新日本誕生』は歴代の作品の中でもトップクラスに素晴らしかった覚えがあります。で、今回の『月面探査記』ですが楽しかったんだけど個人的にはいまいち乗れないなと思いながらの鑑賞でした。
乗れない理由というのは主にカグヤ星の設定周りのことでした。ちょっと都合が良すぎるよなという設定に乗れなかった。カグヤ星は高度に科学が発達した星だったのですがそこで発明された軍事兵器を衛星に向かって試し撃ちしたところ思いのほか破壊の規模が大きくてカグヤ星自体にも甚大な影響を与え文明が壊滅的なダメージを受けてそれ以降停滞してしまったとのこと…。いやアホかよ…。自分たちで開発した兵器の試運転で滅びかけるとかアホ以外の何者なのよ…。でもお話が進むとカグヤ星人そこまでアホではなかった。実は前述した破壊兵器を使用したのはカグヤ星人ではなく彼らが生み出した破壊衝動がインプットされたAIが暴走した結果だったのだ!そして現在もカグヤ星はそのAIに支配され続けている!なるほどカグヤ星人が自ら作った兵器のデモンストレーションで自滅したわけではなかったんだね…。いや待て…。何でそんな危険なAIを作った。いや作っただけならまだしもなぜ文明を滅ぼしかねない軍事兵器にアクセスできる権限まで与えた…。やっぱカグヤ星人アホじゃん!
というのが俺がいまいち乗れない理由なのでした。劇場で一度見ただけなので俺が設定に関するセリフを拾い損ねているという可能性はかなりある。でも大体上記のものがカグヤ星の大元の設定だと思います。このカグヤ星が荒廃して文明が停滞したという設定はそのままカグヤ星人がエスパルという超能力者を探し求め続けるという本編のストーリーにも直結することなので大元の部分で違和感を感じてしまうと最後までしこりが残るような気持ちで観てしまいました。そこは超兵器を手にしたカグヤ星人同士の内戦で疲弊しきった隙を軍事AIに乗っ取られてそのまま軍事力を掌握されてAIの支配下に置かれたとかの方が自然な感じはするんだけど、今書きながらそういう過去パートを描写する尺は勿体ないしあまり込み入った内容にすると子供も理解できないかもなと思いなおしました。じゃあ結局公開されたもので良かったのかもしれない。まぁ俺が細かいところを気にし過ぎなのかもしれないです。
あと本作は過去のドラえもんからかなりのオマージュがみられてその一つ一つはファンならニヤリとするものばかりなのですが特に本筋のストーリーに関わってくるようなものはなくて、ちょっととっ散らかった印象も受けました。
何やら文句ばっか言ってる気もしますが良いところも滅茶あった。脚本自体の出来はとてもいいと思うし想像/創造VS破壊の構図はバッチリ決まってた。サイバーかつ平安風なデザインとかも良かったと思います。あと最近のドラえもん映画でよく見るような気がするけどしずかちゃんとスーパー手袋の組み合わせは素晴らしいですね。これはぜひ今後も続けてほしい。
まずまず面白かったです。
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