ペジオ

ジョナサン ふたつの顔の男のペジオのレビュー・感想・評価

4.0
絶対に重なる事のない2人

「多重人格」っていうのはどこか「イロモノ」としてスリラー映画のスパイス的に扱われがちだなと思っていた
この映画もスリリングな部分はあるにはあるのだけれど、何て言うのかな…「そもそも日常的な人間関係というのは距離感や腹の探り合いなど、既にスリリングな要素を含んでいるものだ」っていう「前提」でのスリリングさでしか無いというか…
この特殊な「2人の男」の関係が「特殊じゃない関係」として描かれている様な気もする
それはおそらくは「優しさ」が根幹にあるからだと思うのだが

誰よりも近くにいるのに、絶対に会えない2人…というこの映画の設定でしか語る事のできない感情の表現が切ない(絶対に超えられない壁を表現するための編集やラストのタクシー運転手の使い方が巧いな。)
それは天に与えられた設定が特殊なだけでジョナサンもジョンも「ありふれた普通の感情を持った人間」であるというところに拠る
改めて「SF」とは特殊な状況下でしか起こりえない「普遍的な人間の感情」を描くジャンルなのかもしれないと思ったり(そういう意味では『ミッション8ミニッツ』を思い出したり。)
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