YYamada

ラストナイト・イン・ソーホーのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.7
【ホラー映画のススメ】
◆作品名:
ラストナイト・イン・ソーホー
(2021)
◆映倫区分 / 日本 : R15+
◆ホラーの要素
 不明瞭な夢と現実の境界線が
 恐怖を煽る
◆恐怖のレベル
 精神的恐怖 ★★☆☆☆
 肉体的恐怖 ☆☆☆☆☆
 知識的恐怖 ★★★☆☆

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズは、寮生活になじめずアパートで一人暮らしを始める。ある時、夢の中できらびやかな1960年代のソーホーで歌手を目指す美しい女性サンディに出会い、その姿に魅了されたエロイーズは、次第に身体も感覚もサンディとシンクロし、夢の中の体験が現実世界にも影響を与えるようになる。
・何度も60年代ソーホーに繰り出すようになったエロイーズは、ある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。さらに現実では謎の亡霊が出現し、エロイーズは徐々に精神をむしばまれていく…。

〈見処〉
①夢と恐怖がシンクロする——
・『ラストナイト・イン・ソーホー』は、2021年に製作されたホラー映画。
・監督、原案は『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト。ライトは本作が、ニコラス・ローグ監督の『赤い影』、ロマン・ポランスキー監督の『反撥』などの英国ホラーのインスピレーションを受け、また、タイムトラベルを使用していることにも言及している。
・出演は、エロイーズ役を『ジョジョ・ラビット』『オールド』のトーマシン・マッケンジー、サンディ役を『マローボーン家の掟』のアニヤ・テイラー=ジョイがそれぞれ演じる。また、2020年9月に死去したダイアナ・リグと同年10月に死去したマーガレット・ノーランの最後の映画出演作となる。

②作中を彩る名曲たち
本作には多数の60'sオールディーズの名曲が登場。
・ペトゥラ・クラーク「恋のダウンタウン」
・ピーター&ゴードン「愛なき世界」
・ダスティ・スプリングフィールド「ウィッシン・アンド・ホーピン」
・ザ・サーチャーズ「Don’t Throw Your Love Away」
・The John Barry Orchestra「狂っちゃいねえぜ」
・シラ・ブラック「私のすべて」
・ジェームス・レイ「セット・オン・ユー」
・ザ・フー「ヒート・ウェイヴ」
・ウォーカー・ブラザーズ 「ダンス天国」
スージー・アンド・ザ・バンシーズ「ハッピー・ハウス」
・サンディー・ショウ「(There’s) Always Something There To Remind Me」

③結び…本作の見処は?
ジャンル不詳と思いきや、中盤からは普通にホラーでした。
◎:『ショーン・オブ・ザ・デッド』など「スリー・フレーバー・コルネット3部作」を手掛けたエドガー・ライトらしい、音楽に合わせたハイテンポな演出が見どころ。60年代ファッションも素晴らしく、まさに「オサレ・ホラーの代表格」作品。
◎: 夢と現実が曖昧な世界観が描かれる本作のうち、2人の主演女優が交互にダンスするシーンは、特殊効果ではなく、カメラのファインダーの外から入れ替わり撮影をしているようで、大変興味深い演出。
○:ブレイク中の2人の新鋭女優、トーマシン・マッケンジー、アニヤ・テイラー=ジョイの過去出演作品のパブリックイメージは、逆の配役が想起されるが、ラストシーンのアニヤの小悪魔ぶりを見ると、このキャスティングが正解だったことがわかる。
▲: エロイーズの霊能力や、亡き母の青春時代の経緯などの設定はほったらかし。さらに過去の男性達は被害者なのだろうか?脚本面の更なるブラッシュアップは出来た気がする。
▲: ホラー=恐怖であるならば、その演出も平均的で物足りなさが残る。いっそのこと、時代を越えた「青春ドラマ」に傾斜したほうが良かったかな!?
YYamada

YYamada