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決闘高田の馬場のミートのレビュー・感想・評価

決闘高田の馬場(1952年製作の映画)
5.0
昭和12年に中編映画「血煙高田の馬場」として名匠マキノ正博によって撮られ、戦後51分の短尺作品で再公開されたこの映画。中山安兵衛が堀部家の養子に入る前の出来事を描いている。いわゆる「高田の馬場の決闘」である。

酒と喧嘩の仲裁が大好きな安兵衛の行く末をいつも心配していた叔父の菅野六郎左衛門。史実とは少し違うが、御前試合での勝利を恨まれ、高田の馬場での果たし状を受けてしまう。決闘で死ぬ前に甥の安兵衛に一目会いたくて長屋で帰りを待つが、かなわず一人で決闘に赴く。

ぐでんぐでんに酔っぱらって帰ってきた安兵衛は叔父の残した手紙を読み、事の重大さに気付く。八丁堀から早稲田に向かって一目散に走って走って駆け付けるのだが、この走るシーンが本当に素晴らしくて涙が止まらん。

事の次第はこの名画を観ていただくしかないが、堀部弥兵衛の娘が渡す純白の襷をかけるところで思いは最高潮に達し、(マキノが指導したらしいが)ジャズダンスを踊るようにバッタバッタと敵を切り倒す。皆さん、一度でいいから、物凄く軽快なバンツマの殺陣を観て下さい。

安兵衛の奮闘むなしく叔父はこと切れてしまう。周囲が安兵衛の勝利をはやし立てる喧噪の中で、安兵衛は天を仰ぎ慟哭する。

なんて素晴らしい映画なんだろう。7.0点くらいつけたい気分。

明治30年生まれの祖父が坂東妻三郎を好きだったらしい。おそらくこの作品も観ていたに違いない。あの世で是非語りあいたい。もう少し待っててくれ、じいちゃん。
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