ベルイマン初期の作品。原題は「港町」という意味。
女性の描き方は流石ベルイマンという感じ。更生施設、堕胎といったテーマを真っ向から描いている。それだけになげやりなラストが気になる。
自殺未遂をした女と港湾労働者の男、二人は愛し合うが、ある夜女は自らの過去を語り始める…
ベルイマンらしく一カット一カットがキマっている。叙情的な音楽は控えめに淡々と、しかし雄弁に語っていく手腕はこの頃から。
後半怒濤の詰め込みっぷりでスウェーデン社会の闇を語っていくが、もう少し尺が欲しかった。中途半端に希望を描くラストが弱い。主役二人はともかく、その他のキャラクターを存分に描き切れているかというと…
ベルイマンにしては商業的なつくりはあるが、初期作品としてはまぁこういうものかなという印象。緊張感ある展開で物語を引っ張っていくのは流石だし飽きない。終盤に向けてもう少し丁寧にみせてくれたら言うことなかったんだけど。