垂直落下式サミング

その時… 上島が動いたの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

その時… 上島が動いた(2007年製作の映画)
3.5
上島竜兵が、自身の生き様を克明に刻み付けた実録風ドラマ。とある村で非行を繰り返す暴走族を更生させるため、上島と彼が率いる竜平会のメンバーはさまざまな作戦を試みるが…。
とりあえず、ダチョウとその周辺の芸人たちのファンであれば楽しめる。若い!無名!ザ内輪ノリ!暴走族のシーンの迫真じゃなさもやばいぞ。
有吉とサーフィンをするシリーズよりは、目的も社会貢献だから共感できるし、作らない素で演じている風だから、ホンモノの芸人上島をみられる(ような気がする)思ったより、ぜんぜん動かないけど。ホントに動かなかったもんな。
上島竜兵死去というタイトルのネットニュースが流れてきた朝、スマホの画面に向かって「はあっ!?」って声をあげていた。こんなのは久しぶりっていうか、はじめてで、自分でも驚いてしまった。あまりにも死のイメージと結びつかない人だったから。
なんにしても、訃報を知った瞬間に追悼ツイートするために、竜兵会メンバーがいい感じで映ってる写真をネットの海で必死で探したり、自分の知ってるエピソードを書き綴って、元気をもらいましたありがとうみたいな、そんな浅ましい愚か者にならなくて本当によかった。そうなったらおしまいよ。俺も、まだまだ捨てたもんじゃないなと。
人を嘲りつつも分別をわきまえる慎ましさは、竜兵会からもらった気がする。上島一門のみなさんたちが届けてくれる笑いから、殺伐のなかをご機嫌に生き抜く力をいただいたような気がします。
映画はつまらなかったですし、上島さんの生前の映像だというのにさしたる感動もしませんでしたが、訃報から一年ほど経ったものですから、柄にもない喪失感にも一区切りがついたのかもしれません。お疲れさまでした。