きみどり

めまい 窓越しの想いのきみどりのレビュー・感想・評価

めまい 窓越しの想い(2019年製作の映画)
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〜「可哀想な母」の愚痴のゴミ箱にされている、すべての娘たちへ〜


ヒロインのソヨンは不安定な契約社員の身で、恋人との関係も不安だらけ、そこへ夜な夜な母親からお金を無心し泣き言を並べる電話がかかってくる。
そんな彼女を陰から見守るビル清掃の青年グァヌもまた辛い過去を抱えて今を生きていて…。

とまあ、結末に至るまでずっとマイルド無限地獄なので、感情がネガティブに引きずられがちな人は元気な時に観ましょう🥲 救いはあるけれど吹けば飛ぶような儚さ…。
清掃業者のボス役の男性が唯一のまともな大人だった。彼がいることに安心するものの、曲がりなりにも若者を守ろうと思う大人は彼しかおらんのか…。

ソヨンよ、君に必要なのは新しい彼氏よりもオンマに知られてない電話番号と引越先だ。全力で逃げろ💨


少し前に『先輩、その口紅塗らないで』というドラマで描かれた母娘の確執を見たときに、このジャンルの秀作がどんどん出てくるかも…と思ったけど、これもかなりの良鬱映画であった。

母娘に関する問題提起と研究では、まがりなりにも日本が先行してたはずだが、エンタメに躊躇なくぶっ込んでくる勢いは、やはり韓国に敵わんな。毒親ものがサブカルの1ジャンルになりつつある今、国産より韓国産の方がパンチ効いてる。


…これ鑑賞直後はレビュー書けなかったんだけど、先日アリ・アスターの『ボーはおそれている』で感情のお焚き上げができたせいか、わりとフラットな気持ちで思い返すことができました。すごいな、アリ・アスター!
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