daiyuuki

グッド・シリアルキラーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

グッド・シリアルキラー(2018年製作の映画)
4.3
公立高校でソーシャルワーカーとして働くエヴァン(ショーン・ウィリアム・スコット)は、仕事では親身になって生徒たちと向き合い、家では育児ノイローゼの妻ローレンを労る良き夫で息子アンドリューを献身的に子育てに参加する子煩悩な父親でもあった。
しかし、幼少時に父親から虐待を受けた過去を持つ彼は、子どもを傷つける親に対して異常なほどの嫌悪感を抱く。
常軌を逸したその怒りは、育児ノイローゼと担当の生徒の1人レイの悩みが引き金となって悩める生徒たちの親を拉致・殺害するという狂気の行動へと彼を駆り立てていく。
子どもたちを傷つける“毒親”を狙う殺人鬼を描いたサスペンススリラー。

虐待された子供は、大人になっても愛してくれなかった親への怒りを抱えて生き、虐待で亡くなった子供のニュースを聞き、子供の頃の生々しい感情がフラッシュバックしてしまう。
ましてや、日々虐待された子供と接しているソーシャルワーカーなら、子供を裏切り傷つける親に対する怒りが抑えられなくなって毒親に怒り心頭に発し殺害することも、あり得なくはないし、子供を救うことになる善行なのではと、エヴァンの兇行を味方して応援したくなるのが、この映画の怖さかも。
中盤に明かされる父親の暴力から守ってくれた母親マリーとエヴァンの強い絆の裏にある血塗られた秘密と予想外の終盤の展開は、原題「血縁」の裏にあるドス黒い意味が重く観る者に響くオチも含めて、コメディが得意のショーン・ウィリアム・スコットの二面性を演じ分ける鬼気迫る演技に惹きつけられる異色のホラーサスペンス映画。
「お前を誰かからも傷つけさせないからね、約束だよ」
daiyuuki

daiyuuki