鰹よろし

ウィズアウト・リモースの鰹よろしのレビュー・感想・評価

ウィズアウト・リモース(2021年製作の映画)
3.3
 任務の成否どころか隊員たちの生死を左右する情報を伏せられたままロシアが関係していたシリアの作戦に従事させられ、犠牲者を出すも命からがら帰還したネイビーシールズ隊員ジョン・ケリーは、妻のパムが身重なこともあってそれを機に退役。新たな生活へと踏み出そうとしていた。

 しかしその矢先、FSBが先の作戦に帯同していた隊員たちへの報復を開始。ケリーも標的となりパムをお腹の子共々殺害され自身も生死を彷徨う致命傷を負ってしまう。

 目を覚ました彼は絶望の淵にあったが、見かねたグリア少佐が不誠実なCIAエージェントリターへの憤りも相まって立場上知り得た極秘情報を彼にお漏らし。ケリーは復讐に燃え、唯一殺り損ねた襲撃犯を追いかけ始めるのだった...

 最初のシリアでの任務において、使い捨て要員であり駒に過ぎないイチ兵士としての側面を際立てつつ、報復によってボロボロになったその有様から、国のために尽くした彼らに報いがあって然るべきだろうとグリア少佐と共に寄り添わせ、後にジョンが選択するその道は何を隠そう彼自身の感情によって突き動かされたモノであると彼の動機に同期させた先に見据えさせる、いやそれすらもとする陰謀論の魅せ方は素敵。

 そして自身が辿った(踊らされた)道や岐路を省みつつ、これから起きるかもしれないそれらを抑止・防止すべくより高度で洗練された情報戦の必要性を問う、現状揺らぎつつある正義とは別に創設されようとする多国籍の対テロチーム“レインボー”の意義としても見応えがあった。

 ところでレインボーってのはレインボーベビーから来てるの?


「ブッシュウィック 武装都市」(2017)...「オキュペーション 侵略」(2018)...
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