垂直落下式サミング

STAND BY ME ドラえもん2の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

STAND BY ME ドラえもん2(2020年製作の映画)
1.5
すげーヤだった。鼻持ちならないおはなしだと思う。
のび太くんが、今後のしずかちゃんの幸せを願うなら自分は身を引くべきだって、一度はそういう結論に至ってからの、どういうわけか大逆転した世界線の未来では、雪山で遭難したのを助けて、結婚前夜まで最短距離を走りきる。フルハッピーエンドまで勢いでやりきった前作の良さすらも裏切っている。
「僕が幸せになることが、しずかちゃんを幸せにすることだと気づいたんだ」とかほざく舐めた花婿に「よくできました」って、しずかちゃんコイツの何を認めたの?コイツは何が褒められたの?ぜんぜんわかんない。
せっかくツラと性格のいいお嫁さんをもらう夢が叶うのに、そこで一年も逃げるとか。度を越したロクデナシはヤバすぎるでしょ。のび太があまりにもヒドいのに、これを美談に落とそうとするのはどうなのかな?
大人のび太が逃げるみたいなのは、原作にあったんだっけか?たぶんないと思う。そんな自信がないとかで甘えてんなって。世の中のたいていの男は、ながい人生のうちブスとしかセックスできないんだからさ。(ネットの匿名性ばんざい)
でもまあ、どんな結婚だろうと地獄の入り口なのはわからんじゃないっすけど…。みんなが手を叩いて祝ってるときは、気をつけたほうがいい。騙されてるんだぞ。
おばあちゃんの思い出や、生まれた日のエピソードが並べられているけど、そもそもの前提が鼻持ちならないから、まったくもってドラ泣きにはいたらなかった。これらは、短尺の刹那的な感じとか、一応は過去に干渉しすぎないように気を遣って行動するところがよかったのであって、スゲエ無頓着に過去未来を改変しまくってんのが、今回は目に余るんだよな。
『ザ・フラッシュ』で、マイケル・キートンのバットマンが乾燥パスタを使って過去改編によるマルチバース(パラレルワールド)の乱れを説明してくれたけれど、気楽にあんなことやってたら過去も未来もぐっちゃぐちゃにゆで上がりそうですけども…。
ホントにキケンな駄作だと思う。ドラえもんという物語の持つ欺瞞を、シッカリクッキリ浮き上がらせてしまってんのが良くない。マジで教育的でないっすよ。僕まだ親じゃないけど、子供にみせたくないもん。
ぼんやり生きてて、これからも何者かになんてならなくてもよかったのび太は、ドラえもんがやって来たせいで「より良い人生」を欲してしまう…という、押し付けのパラドックスを強く意識させる作り。これは、よくない。ほんっとよくない。
美談の押し売りな山崎貴メソッドが、悪い方向に作用している。ダメでしょ。これは。前作では一応ブレーキが効いてたのに、今回ヒドイぞ。