KnightsofOdessa

ラグレットの夏のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ラグレットの夏(1996年製作の映画)
4.0
[全てがあったラグレットのある夏] 80点

キリスト教/イスラム教/ユダヤ教のご近所三家族の年頃娘三人組が、夏の間に処女を喪失しようと奔走する話。寓話的なサンプリングは先日のナディーン・ラバキ『私たちはどこへ行くの?』とも重なってくるが、本作品はどちらかと言えば昨年上映された『西ベイルート』のようなあっけらかんとした青春ものと捉える方が好ましい。サンプリングによる寓話性よりも、他の宗教を信じる者たちが隣同士で暮らすことについて、本質的に対立する可能性など秘めていないことを詳らかに描き出しているという点で実におおらかだし華麗である。酒を飲んでトランプをすれば些細な喧嘩も吹っ飛んでしまうのが理想的だよな。

クラウディア・カルディナーレが本人役で登場。設定は1967年なので『ウエスタン』を撮影している頃だが、製作はその30年後なので多少の年月は経っているものの、その荘厳な美は失われていない。私は彼女とグンネル・リンドブロムが亡くなった日には耐えられるのだろうか。
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