垂直落下式サミング

大怪獣のあとしまつの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
2.0
企画時点での志は高くあったと信じたい。社会性、風刺性、シンゴジラのように現代日本の抱えるあれこれを空想科学のフォーマットに乗っけて提示してくるのだと思いきや、必要な毒気まで全部抜いたような空虚さは何なんだろう。
そんで、蒸留して残ったのがウンコチンチンネタだけっていう。オハナシは脳タリンさんなんですか?
紛う事なきポンコツ映画ちゃん来ちゃいましたねっ。最近は面白いのばっかりみてて、これ級のヤツに出会うのはかなり久し振りだったため、にがい喜びを噛み締めている。
この時代に、この水準のものを全国公開して客から金取るとは、楽な商売し過ぎで、ほんとガッカリ。有名どころの俳優も出ていて、それなりの期待値もあったのに。ちょっと、これじゃあ困るなあ…。
撮り方なのか、切り取り方なのか、何が悪いのかよくわからないが、とかく画面が間抜けにみえる。演技を頑張ってる役者さんはホントに御愁傷様です。
そんななかでも、西田敏行はひと味違った。現場でヤバい仕事だと察したのか、うまく力を抜いていて、適当に演技してるのに見映えはよくみせる役者力を発揮し、俺のせいじゃないよって煙に巻く。狸オヤジめ!
そんなで、いろんなところが噛み合ってない感じ。コメディタッチのストーリーがキツイ、俳優の演技の撮りかたがキツイ、画面が安っぽくてキツイ、キチイでございます三拍子揃っちゃっているのですわ。
僕は、映画一本1800円という値段には、わりと納得しているし、あらゆる映画には、広く劇場公開されることに意義があって、それなりの値打ちがあるもんだと思ってるんだけど、この『大怪獣のあとしまつ』は、そういった何かしらのバリューがないし、身の丈にあったところから一歩たりとも動かないどころか、予想や期待を下回る。不誠実さのカタマりみたいな…。愚作です。
100円でレンタルするのすら損だと思う。サブスクで見放題なら…、まあ、お好きに…。観ると予想以上にガッカリするタイプの駄作なので、ホントに困るんですよね。愛せない駄作は困ります。