鷺宮テラス

あのこは貴族の鷺宮テラスのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

引き戸の閉め方から膝行(畳の上に正座したなりの進退)に至るまで華子(門脇麦さん)が澱みなく行う作法は自分と同じ裏千家だろうなと応援しながら観ていた。華子はうつむき加減で確信的にじっと待ち幸一郎の祖父から『華子さん。』と話しかけられると柔らかな表情で顔を向ける様子はこれまでに彼女が培ってきた教養と誇りが伝わってきて鳥肌が立った。


水原希子さん(美紀)も地元がイヤで上京した女性の生きづらさを演じてくれてすんばらしかった。うつくしかったなー。どの位置にいても親にしろ子にしろ現在の地位を維持するのは大変なのだと(華子の嫁ぎ先の家柄や美紀のご両親は仕事に失敗した様を観て)再確認した。

もがきながら二人は"そこ"から巣立っていく。

席につき向かい合う相手がいながら女性を目で追う男性の仕草や風に飛ばされた人様の帽子を拾いにいくなどさりげない演出に細やかな気配りを感じて飽きずに鑑賞できた。映画を観た気にさせてくれた。素敵でした。
鷺宮テラス

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