しろくま

あのこは貴族のしろくまのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.9
《焦ることないよ》
〝みんな落下傘部隊みたいに次々結婚していくけど、ちょっと早すぎない?まだ20代だよ〟〝でも私たちってそうやって育てられてきたでしょ〟〝そうね。初等科からのグループで独身なのは…〟

ヴァイオリニストの逸子(石橋静)と二人だけになってしまって、華子(門脇麦)の焦る気持ちは分かるけど…。〝ねぇ、誰か紹介しようか〟って言われて、お見合いをした男性は、みんなどうしようもない人たちばかりで、諦めかけていた時に知り合ったのが、イケメン弁護士の幸一郎(高良健吾)。二人はすぐに結婚前提のお付き合いを始めたのだけど、幸一郎の女性問題が発覚。昼メロみたいなドロドロとした恋愛バトルが展開されるのかと思ったら…。描きたいのはそこじゃないみたいで…。

上流階級あるあると地方出身者あるあるが満載で、地域格差や経済格差ってあるんだなあって思うけど、みんな必死に生きていて…。スタートラインは違うけど、東京生まれの箱入り娘の華子も、地方生まれの雑草系女子の美紀(水原希子)も目指すものは同じで、自分らしく生きるっていうことね。

映画を観ただけでは分からなかったけど原作本を読むと、由緒ある家柄の人達の衣食住やものの考え方が分かって面白い。例えば〝祖母が着ているツーピースは、華子が生まれるずっと前に日本橋三越で誂えたもので、何十年も着ているのに生地はまるで傷んでおらず、デザインも全く古びていない〟それって高級ブランド品を買いあさるようなイマドキセレブとは、ちょっと違うね。

そんなお嬢様な華子が、恋敵の筈の美紀とかかわりを持つことで、どんだけ狭いところで守られて生きてきたのかを痛感し、誰かに頼るしかない生き方を改めなきゃって自分を見つめ直す成長物語。ほんわかしている門脇麦さんと、がむしゃらな水原希子さんの魅力がいっぱいの映画。

視聴メモ:2023.08.24/121/Abematv
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