バンクーバー国際映画祭にて。
SNSの光と影を描いたエジプト映画かな?と思って見始めたが少し違った。思いの外悲劇が起こる。
主にエジプトに住むスアドという10代の少女、スアドとオンライン上でつながるアーメッド、スアドの姉の話。
現代は切っても切れない存在となったソーシャルメディアと伝統的宗教信仰が混在する社会。相反するものがミックスされた世界にいる少女。
本来の自分やアイデンティティと切り離された別人になることを可能にしてしまうデジタルメディア。
距離を縮めて親しくなることも可能だが、皮肉にもそうしてできた仲には秘密や謎がそのまま残っているという。
そんな感じで進むのかと思っていると、意外な出来事があり後半は少し変わってくる。
亡き者が作り上げたいくつかのアイデンティティを追うように、また喪失感を埋めるかのように、足跡をたどっていく。
とても皮肉的な話だったけど、各章ごとに一人の人物を追うドキュメンタリーのようなドライさがあった。