垂直落下式サミング

皆殺しの天使 ビデオの中に悪魔がいるの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
青年がレンタルビデオショップで借りた一本のビデオを仲間と視聴するが、映像の中の悲惨な劇が現実そのものとなってしまう。虚構が青年とその仲間たちを襲う恐怖を描いたホラームービー。
なんかオープニングクレジットが異様にカッコいい。公開は1997年。何周か遅れでもお構いなしに、セブンをパクった感じですね。センスが光る。ビデオ一本が一泊で480円かぁ。映画観るのも頑張んないとな時代ですなぁ。
なんかやけに光がぼやっとして、セリフが観念的で、女性がコケティッシュで艶っぽいなと思ってみていたら、岩井俊二映画のスタッフが作ったものらしい。納得。
きったない団地住まい。ビデオの内容は、安っぽいサイコ。事態のエスカレーションが面白い。女の子の指あんなに太いかなぁ。武闘派やくざの指じゃない?指、目玉、腕、脚、仲間たちが怪我する場所も暗示的だけれど、結論はすごく曖昧なまま。
冒頭の小学生たちとの関連も、よくわからないまま、だんだんと現代と過去の時空間の接点が見えて来そうで来なかったり。エレベーターの押しボタンが、二列になったり、一列になったり…。時間軸がねじれてゆく。
この過去のはなしには、トランスジェンダー的な要素も入っていて、90年代の作品にしては現代に通じるような新しいことをやっている気がした。子供のころのイジメは拒絶よりも憐憫のほうが当事者の心を苦しめることがあるって、やるせないハナシですね。
難解というか、安直な答えをくれないタイプの作品だから、これは虚か実か、ハッキリとして欲しい実存主義な僕にとってはオトナの味過ぎた。
見所はエレカシ宮本みたいな髪型の大森南朋。わかーい!杉本彩と桜樹ルイはビデオショップガール!友情出演らしいよ。杉本さんは、美熟女になってからしか知らないから、顔若いと逆に誰かわからなかった。