Jun潤

コーンフレークのJun潤のレビュー・感想・評価

コーンフレーク(2020年製作の映画)
3.6
2023.01.30

ポスターを見て気になった作品。
なんとなく『花束みたいな恋をした』的作品群のブームもこのあたりで終息かなという感じ。
個人的にどうしてもポスターのキャッチコピーを見て観ないわけにはいかないと、1週間の期間限定上映に滑り込みで鑑賞。

生命保険営業の美保は、ミュージシャンの夢に破れかけている裕也との付き合いが7年目に入ろうとしていた。
お互いの存在が当たり前になりつつあり、不満もないけど満たされてもいない、そんな微妙な関係。
とある夜をきっかけに、当たり前が当たり前でなくなるー。

むほほ、これはこれは、久しぶりに観た荒削り中の荒削りなインディーズ映画。
物語も成立している、伝えたいこともわかる、だけど今一つ何かが足りていない、でも作り手の想いが伝わってくる、そんな作品。
今後世に出てくる可能性を秘めたキャスト・スタッフ陣には好感しか沸きませんよねぇ。

ストーリーとしては6年付き合いが続いたカップルに起きた一夜の出来事。
いくらでもハッキリと終わらせられそうなところをなかなかそうせずに、結果ビターともハッピーとも取れるじんわりエンド。
タイトルにもなっている『コーンフレーク』の通り、牛乳に浸かり過ぎてふにゃふにゃになってしまったような2人の関係を断ち切るために、当たり前だったことを手放すという意味では、個人的には2人とも別々の道に進んでいってほしいところ。

現状に甘んじて、言いたいことも言わずしたいこともしなかった美保はハッキリと言葉にして伝え、自己表現の場から逃げ続けていた裕也もまた曲として美保への想い、今までの6年間を形にして残した。
別れた時に作った曲は名曲になる、知らんけど。
Jun潤

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